活動期間：2011年-2014年
メンバー：2人
ジャンル：エレクトロニカ、オルタナティブ・ロック
所属事務所：T.A. Music

日本でヒットする洋楽の多くが、アメリカやカナダ出身のポップス歌手とロックバンド。ロックの聖地であるイギリス出身のバンドやアーティストたちも、多くの日本人ファンを獲得しています。

最強クラスの国力を持つロシアには、綺麗な顔立ちの女性が多いことでも有名です。しかし、日本ではあまり話題になることはなく、ヒットしたロシア人アーティストはそう多くありません。

そんな日本において大ヒットのが、ロシア発のアイドルユニットt.A.T.u.。ファーストアルバム「t.A.T.u.」が、日本だけで200万枚以上ものヒットを記録したアイドルグループです。

t.A.T.u.のメンバーは、ロングヘアの美人であるリェーナ・カーチナさんと、ボーイッシュなショートヘアがトレードマークのユーリャ・ヴォルコヴァんの2人。ブレイク当時は「レズビアン」を意識した路線で知名度を上げており、手を繋いでパフォーマンスを行ったり、キスを披露したこともありました。

t.A.T.u.は2011年に1度目の解散を迎え、2013年に再結成。2014年に開催されたソチオリンピックのプレショーに出演したのですが、その後すぐに2度目の解散を迎えてしまいました。

現在も再結成しておらず、メンバーの2人はソロ活動に専念しています。

「ミュージックステーション」とは、テレビ朝日系列が誇る長寿音楽番組。初回から一貫して生放送を続けており、司会は「笑っていいとも！」などで国民的な存在となったタモリさんが担当しています。

音楽番組としての人気と知名度は、年末の特別番組である紅白歌合戦を除けば日本一。世代を超えて愛されており、定期的に放送されているスーパーライブも、放送の度に話題になっています。

ミュージックステーションに出演を果たすのは、10代から20代の若者世代に支持される旬のアーティストが中心。一流アーティストになるための登竜門でもあり、多くのアーティストたちがミュージックステーションに出演したことで名を轟かせてきました。

基本的に日本国内のアーティストが中心ですが、まれに海外アーティストが出演することもあります。親日家で知られるアヴリル・ラヴィーンさん、お騒がせアーティストとして世界で賛否を呼んだジャスティン・ビーバーさんも、ミュージック・ステーションに出演を果たしています。

海外のアーティストがミュージックステーションにキャスティングされるタイミングは、ブレイク中であることや来日公演のタイミングなどさまざま。t.A.T.uの場合、日本でブレイク中だった2003年にミュージックステーションへ出演を果たしたのですが、番組史上トップクラスの放送事故を起こしてしまったのです。

ミュージックステーションでは、番組の冒頭に出演アーティストが階段から降りて登場。その後、タモリさんとアーティスト全員が挨拶を交わすのがお約束の流れとなっています。海外アーティストが出演する際も同じ流れですが、特別出演ということもあり、冒頭の挨拶部分は少し長めの尺を用意されることがほとんどです。

t.A.T.u.が出演を果たした2003年6月27日の放送回においても、t.A.T.u.の紹介や多少のトークなど、冒頭に挨拶以外の時間も設けられていました。しかし、この冒頭シーンを最後にt.A.T.u.が番組に出演することはありませんでした。

冒頭で注目の海外アーティストと紹介されたt.A.T.u.は、通訳を介してタモリさんとコミュニケーション。セクシーな衣装をいじられても「もっとスカートを短くした方がいいでしょ？」とリェーナ・カーチナさんがユーモアに返しており、決して険悪な空気は漂っていませんでした。

ミュージックステーションはタモリさんと大物アーティストのトークも見どころであり、放送当時はt.A.T.u.とのコラボレーションに多くの視聴者が期待していました。しかし、t.A.T.u.がドタキャンしてしまったことで、2人のトークは冒頭のみとなってしまったのです。

前代未聞の生放送ドタキャン事件が発生し、ベテラン司会者のタモリさんも困惑した様子を隠すことができませんでした。カメラに向かって「t.A.T.u.が出たくねぇと…」、「t.A.T.u.出てきません！」とタモリさんは状況を解説。険悪にならないよう配慮しているタモリさんの敏腕ぶりも、当時しっかりと放送されました。

この放送回では、現在もアイドルグループとして活躍中のV6や、神戸市議員との不倫によってバッシングを浴びた議員であり当時アーティストだった今井絵理子さんら大物アーティストが出演していました。テレビ番組で活き活きとした様子を披露してきたはずのベテランなはずですが、予想外の騒動を目の当たりにし、多くのアーティストがただ笑うことしかできませんでした。

ドタキャンを続けるt.A.T.u.に対し、テレビカメラ越しにt.A.T.u.を呼び掛けていたタモリさん。しかし、その言葉がt.A.T.u.に届くことはなく、時間は過ぎる一方でした。そんな中、あるロックバンドがボロボロの状態だったミュージックステーションを救おうと立ち上がったのです。

t.A.T.u.ドタキャン事件でバタバタしていた現場を救ったのは、当時4人組ロックバンドとして活動していた「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT（ミッシェル・ガン・エレファント）」。当時のヒットチャートを独占していたラブソングとは正反対の正統派ロックを得意としていたロックバンドで、テレビ出演よりもライブ活動に力を入れていたと言われています。

ビジュアルも華やかさよりもロックバンドらしさを追求しており、ミュージックステーションへの出演時もクールな髪型や衣装で出演を果たしました。

ドタキャンしたt.A.T.u.も初登場でしたが、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTもこの放送回が初のミュージックステーションとなりました。以前から知る人ぞ知るロックバンドだったため、t.A.T.u.と同じくTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの出演も目玉のひとつでした。

自分たちの出番が終わり、後は番組終了まで待つ状態だったものの、t.A.T.u.ドタキャン事件が突如発生。状況を見かねたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTは、自分たちが再びステージを披露し、尺を繋ぐことを提案してくれたのです。

t.A.T.u.がドタキャンしてしまったことで、その場を救うためもう1曲披露することになったTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT。2003年にリリースされたアルバム「SABRINA NO HEAVEN」の収録曲「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」を演奏し、リハーサル無しとは思えない完璧な演奏でお茶の間、そして凍り付いていたスタジオを盛り上げました。

ちなみに、急遽演奏することになったため、当時は歌詞のテロップが一切表示されないまま放送。また、基本的にシングル曲を中心に披露することが多いミュージックステーションでアルバムの収録曲を演奏する珍しい展開にもなり、視聴者、そしてTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのファンにとってもレアな放送回となったのです。