事件の概要

事件の概要

ホワイトチャペル殺人事件は、1888年4月3日から1891年2月13日にかけて起きた11件の事件を総称しています。ここには切り裂きジャックの犯行であると断定できる5件の事件も含まれているのです。

しかし、殺害の方法や殺害後の死体に加えられた損傷が違うことから、他の事件は犯人が違うのではと言われています。

被害者について

被害者について

エマ・エリザベス・スミスさんは、ホワイトチャペル事件での最初の犠牲者となります。1888年4月3日、ホワイトチャペルにあるオズボーン・ストリートとブリック・レーンの交差点で襲撃され、膣内に鈍器のようなものを挿入され、病院に運ばれました。

しかし鈍器で腹壁が破裂、それが原因となり腹膜炎を併発して死亡しました。本人は男性2~3人から暴行されたと証言していました。

マーサ・タブラムさんは1888年8月7日、全身39か所を刺され死亡。地理的なことから切り裂きジャック犯人説が濃厚とされています。しかし、喉は切られておらず、他の被害者とは異なっているようです。

ローズ・ミレットさんは、1888年12月20日絞殺死体で発見されています。警察側はこの殺人は事件性がないとして、自殺としていましたが、ホワイトチャペル殺人事件の捜査資料に加えられました。

アリス・マッケンジーさんは1889年7月17日の午前0時40分、頸動脈切断により死体で発見されています。この事件は、切り裂きジャックの犯行によるものだという肯定派と、それを否定する否定派に別れています。

「ピンチン・ストリートの胴体遺体」は、1889年9月10日午前5時15分、ホワイトチャペルのピンチン・ストリートガード下で胴体だけの女性の死体が発見されています。他の部位は見つからなかったということ。

こちらも切り裂きジャック殺害の肯定派と否定派に別れていたようです。

フランシス・コールズさんは1891年2月13日午前2時15分に発見され、ホワイトチャペル殺人事件最後の犠牲者でした。コールズさんは地面に激しい勢いで叩きつけられた後、喉を掻き切られていました。

この後、ジェームズ・サドラーという男性が逮捕されていますが証拠不十分で釈放されました。

他にも犠牲者は「フェアリー・フェイ」「アニー・ミルウッド」「エイダ・ウィルソン」「アニー・ファーマー」「エリザベス・ジャクソン」「キャリー・ブラウン」、などがおり、”ホワイトホール・ミステリー”という頭部のない女性の胴体がホワイトホールで発見されていました。

例外として1891年4月24日に、アメリカのマンハッタンで殺害されたキャリー・ブラウンさんの殺人事件ですが、絞殺した後に遺体をナイフで切断するという事件が起きていましたが、事件現場が遠く離れたアメリカであったため、関連性はないとされました。

切り裂きジャックがどうしてこんなに有名になったのか

切り裂きジャックは超ミステリアスな事件

切り裂きジャックは超ミステリアスな事件

切り裂きジャックの殺人は、1891年2月13日に発見されたフランシス・コールズさんの殺害以降、犯行はプッツリと途絶え、表舞台から姿を消してしまいました。

更に、新聞社に『切り裂きジャック(Jack the Ripper)』と名乗る者から犯行声明文が送られてくるという、犯罪史上類を見ない行動に出たことで、この事件は世界に知られることとなったのです。

そして事件の名称が「ホワイトチャペル殺人事件」から「切り裂きジャック」と名乗られるようになりました。

連続殺人事件の場合シリアルキラーと呼ばれ、普通なら衝動を抑えることが出来ず犯行は逮捕されるまで永続的に行われ、それが原因で逮捕されます。しかし、この事件に限ってはわずか2か月だけの犯行に止まり、姿を消すという未解決事件に終わってしまったため、そのミステリアスさが犯行マニアの人たちを夢中にさせ、「リッパロロジスト(切り裂きジャック研究家)」と呼ばれる人達が生まれたのではないでしょうか。

この事件はその後、「劇場型犯罪」として認知されるようになり、他の事件でも犯行声明を公表する犯罪者が増えていきました。

日本のリッパロロジストである作家の仁賀克雄氏さんによりますと、「この声明文に”切り裂きジャック”という命名がなかったら、この事件は19世紀の一犯罪実話として、これほど多くの人々の記憶にも歴史にも残らなかったろう」と語っていたそうです。

切り裂きジャックからの手紙について

1888年9月27日、正にマーサ・タブラムさんが殺害された1か月半後に「切り裂きジャック」と署名のある手紙が新聞社のセントラル・ニューズ・エイジェンシーに届きました。

消印は9月25日ということ。内容は、 "Dear Boss(親愛なるボスへ)" の書き出しで始まり、切り裂きジャックは売春婦が大嫌いであること、そして警察には捕まらないこと、犯行はこの跡も続くことを書いてあったそうです。

事実この手紙から3日後にはエリザベス・ストライドさんとキャサリン・エドウズさんの2人が殺される「ダブル・イベント」がありました。

他にも何百通もの手紙が届きましたが、殆どはいたずらかマスコミの自作自演だったようです。

しかし、この手紙で事件の知名度が極端に上がったという訳です。

切り裂きジャックの犯人と疑われた人物

モンタギュー・ジョン・ドルイト

モンタギュー・ジョン・ドルイト

弁護士で教師をしていました。目撃証言から容貌が似ていることで疑われていました。最後の事件後にテムズ川に飛び込み自殺をしています。

最初と2番目の事件の時のアリバイがなかったことや精神病を患っていたことなどから、容疑者として有力に。

マイケル・オストログ

マイケル・オストログ

ロシア人で海軍の駐在医、外科医ということ。殺人や他の前科もあり容疑者の一人とされていました。事件当時のアリバイもなかったということでかなり信憑性が高かったと言えます。

トマス・ニール・クリーム

トマス・ニール・クリーム

アメリカ人医師で毒薬で売春婦を殺害した「ランベスの毒殺魔」と呼ばれていました。

1892年に死刑が執行されており、処刑されるときに絞首台で「俺は切り裂きジャ・・・」と叫んで死んでいったとか。しかし、1888年当時彼はアメリカのイリノイ州の刑務所に収監されていたため犯行は無理でした。

アーロン・コスミンスキー

アーロン・コスミンスキー

ポーランド出身のユダヤ系の理髪師です。殺人現場に近いイースト・エンド近辺に住んでおり、犯罪歴や精神病歴があります。そして売春婦を憎んでいたということ。

しかし、切り裂きジャックが書いたとされる手紙の筆跡とは一致しなかったため、起訴されなかったそうです。

ジェイムズ・メイブリック

ジェイムズ・メイブリック

事件の3週間前に事件現場近くのミドルセクス・ストリートの部屋を借りていたということで捜査線上に挙がっていました。

メイブリックの妻であるフローレンスさんは「メイブリック事件」の被害者でもあります。冤罪という見方が強かったようです。

ジェイコブ・リーヴィー

ジェイコブ・リーヴィー

ユダヤ人の精肉業者です。彼は梅毒に感染しており、精神も不安定でした。そのため一晩中街を徘徊することがあったそうです。また、目撃者の証言から、犯人像がリーヴィーと当てはまる点が多かったことも容疑者として浮上しました。

ウォルター・シッカート

ウォルター・シッカート

ドイツ人の画家です。リッパロロジストのパトリシア・コーンウェルさんが、ミトコンドリアDNAの検査から、99%以上の一致率でウォルターが犯人であるとしています。

新たなDNA鑑定から犯人の正体に迫る

リッパロロジストのP・コーンウェルがミトコンドリアDNA鑑定

リッパロロジストのP・コーンウェルがミトコンドリアDNA鑑定

世界中のリッパロロジストが切り裂きジャックの研究をしている中、小説『検屍官ケイ・スカーペッタ』で有名なアメリカの推理作家であるパトリシア・コーンウェルさんが、真犯人は「ウォルター・シッカート」だと考え、約7億円を投じて調査を行っていました。

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