数々の調査を含め、切り裂きジャックから届けられた手紙の切手についていた唾液を採取して、ウォルター・シッカートの遺品から取り出したミトコンドリアDNA鑑定をした結果、自身の著書『切り裂きジャック』でミトコンドリアDNA鑑定の結果を報告。ウォルターが犯人であることを断定していました。

しかし、「唾液を採取した手紙が真犯人のものであるとは断定できない」、「ミトコンドリアDNA鑑定は、特に同じ地域においては同じ型のDNAを持っている人が多く存在し、また別人でも同じであることが多くあるため、同一人物とは断定できない」などという点と、ウォルター・シッカートは事件当時フランスにいたというアリバイがあることから、犯人であるという説は断定できていないようでした。

リッパロロジストのラッセル・エドワーズが新たな証拠を

リッパロロジストのラッセル・エドワーズが新たな証拠を

イングランドの企業家であるラッセル・エドワーズさんもリッパロロジストの一人で、切り裂きジャックの新たな証拠を見つけたと、自身の著書『切り裂きジャック 127年目の真実』で綴っていました。

アーロン・コスミンスキーが真犯人

アーロン・コスミンスキーが真犯人

その犯人はアーロン・コスミンスキーということ。前述していますように、アーロン・コスミンスキーはユダヤ人の理髪師で、切り裂きジャックの手紙の筆跡が一致しなかったことや、目撃証言が撤回されたため、証拠不十分で起訴を免れていました。

しかし、どのような新たな証拠が出てきたのでしょう。

それは、1888年9月30日に殺害された4人目の犠牲者であるキャサリン・エドウズの持ち物だということです。その持ち物というのがショールで、なんとオークションに出品されていたらしいのです。

証拠は4番目の被害者のショール

証拠は4番目の被害者のショール

そのショールの由来は、事件当時駆け付けた警察官が、殺害現場で拾って着服していたということ。記念品としていたのでしょうか、家に持ち帰り、現在まで一度も洗うことなく厳重に保管していたそうです。

出所としてはかなり怪しいのではないでしょうか。しかし、ラッセル・エドワーズさんはそのショールのことを信じ切っていたそうです。何故ならショールには血液や精液のような複数のシミが残されていたからなのです。

ショールと実在する子孫のDNA鑑定を行う

ショールと実在する子孫のDNA鑑定を行う

ラッセル・エドワーズさんはそのショールをDNA鑑定にかけ、更に犠牲者のキャサリンさんの子孫や被疑者であるコミンスキーの子孫を探し、DNAのサンプルを提供して貰うことに成功していました。

そういった貴重な人物の子孫が実在していること自体驚きですが、そこからDNA鑑定ができる世の中になっているとは、流石の切り裂きジャックでさえ思いつかなかったでしょう。

ショールのDNA劣化によりミトコンドリアDNA鑑定を

ショールのDNA劣化によりミトコンドリアDNA鑑定を

やり方は、まずショールのDNAサンプルを採取します。ショールは経年劣化していますので、丈夫な裏側から採取したということ。しかし、劣化の激しいショールのDNA事態も劣化していたそうで、丈夫で残る可能性の高いミトコンドリアDNA鑑定を行い、成功しました。

次に、ショールから採取して増幅されたミトコンドリアDNAと、被害者の子孫のDNA、コミンスキーの子孫のDNAをそれぞれ分析し比較したところ、全てがほぼ一致したということ。

真犯人をアーロン・コスミンスキーと断定!

真犯人をアーロン・コスミンスキーと断定!

しかしここで注意するべきことは、前述していますようにミトコンドリアDNAが一致しても、同一人物のものであるとは言えないということでした。

しかし今回の分析では、ショールから採取されたDNAと被害者キャサリンさんの子孫のミトコンドリアDNAから、同じ突然変異が確認されたということで、その突然変異の保有率は29万分の1という確率でした。

これにより、ショールは被害者のキャサリンさんのものであることが証明されました。更に、ショールから採取された別のミトコンドリアDNAは、コミンスキーの子孫のものと一致。

これによって切り裂きジャックの真犯人はアーロン・コスミンスキーであると断定したのでした。

切り裂きジャックの正体と実在する犯人や被害者子孫のDNA鑑定【まとめ】

・切り裂きジャック事件は1888年の約2か月間にロンドンで起きた連続殺人事件で、被害者の売春婦5人は鋭利な刃物で喉を切られ、殺害した後に特定の部位(子宮や卵巣、膀胱など)を切り取られていた。

・切り裂きジャック事件の前後にホワイトチャペル事件という殺人事件も起きており切り裂きジャック事件との関連が指摘されているが、犯人が同一人物かは分かっていない。

・切り裂きジャック事件は、新聞社に『切り裂きジャック(Jack the Ripper)』と名乗る者から犯行声明文が送られてきたことにより世界に知られることとなった。

・切り裂きジャック事件の犯人は解剖学的な知識がある医師や肉を捌くことが出来る肉屋などが有力視され、多くの人物に疑いがかけられていた。

・アメリカの推理作家であるパトリシア・コーンウェルは約7億円を投じて調査を行いドイツ人画家のアーロン・コスミンスキーが犯人だとしたが、アリバイがあったこともあり断定はできなかった。

・企業家であるラッセル・エドワーズは、証拠不十分で起訴を免れていた理髪師のアーロン・コスミンスキーが真犯人だとし、被害者のショールと子孫たちのDNAを分析したところアーロン・コスミンスキーが真犯人だと断定されるに至った。

これで切り裂きジャックの犯人の正体が明かされた!と喜びたいところですが、DNA鑑定専門家から誤りがあると指摘を受けたそうです。それは「突然変異”314.1C”」があったとされる表記は、ヨーロッパ人の99%が持つありふれたDNA変異で、「突然変異”315.1C”」と表記されているべきとしていました。これについてラッセル氏は現在再調査を行っているということ。切り裂きジャックの正体が明らかになる日はくるのでしょうか。

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