コロンビア号空中分解事故の概要

コロンビア号空中分解事故は、100回以上にも上る打ち上げに成功させたスペース・シャトルが、宇宙に飛ぶことが普通のこととなり、国民の関心が薄れてきていた最中に起きた事故でした。

そのため、皮肉にもアメリカ国民ならず世界中の人々が事故の訃報を聞き、テレビにかじりつくほどの関心を寄せることとなりました。その事故の概要を説明していきます。

2003年 コロンビア号 墜落事故 - YouTube

出典:YouTube

発泡断熱材の剥落が原因

発泡断熱材の剥落が原因

2003年1月16日に打ち上げられたコロンビア号STS-107は、15日余りのミッションを終え、地球に帰還する直前の出来事でした。コロンビア号が大気圏に再突入する際、テキサス州とルイジアナ州の上空で空中分解し、7名の乗組員が犠牲となりました。

発端は、打ち上げの時に外部燃料タンクの発泡断熱材が空力によって剥落し、手提げカバンほどの大きさの破片が左主翼前縁を直撃、大気圏突入時に生じる高温から機体を守る耐熱システムが損傷したことによるものでした。

機体の損傷に気付いたが調査が制限された

機体の損傷に気付いたが調査が制限された

無事に宇宙へとたどり着くことが出来ましたが、シャトルが地球を周回している間に機体が損傷していることに気付いた技術者は、NASAと連絡を取り調査することを要請しましたが、NASAでは調査することを制限したということ。

本来であれば、断熱材などの破片の剥落は許されないことであり、打ち上げ前に解決していなければならない問題でした。しかし、NASAの技術者たちは、破片が剥落し機体に当たるのは避けられないことで解決不能だとし、安全上の問題はないと考えていたようです。

前例でもこのような事象があり、打ち上げに於いては何の問題もなく終わっていたので、事態を軽く考えていたようです。

実際の写真で見ると、軌道船機首部分、外部燃料タンクとの接続部分の根本に見える白い三角形が事故の原因となった左側バイポッド・ランプです。

既に耐熱システムが破損していたため、打ち上げ時はなんとか耐えられましたが、帰還時の2度目の大気圏再突入には耐えられなかったようです。

コロンビア号空中分解事故の原因とは?

事故原因のバイポッド・ランプについて

事故原因のバイポッド・ランプについて

コロンビア号の主翼を破損させた、左側バイポッド・ランプの近接写真です。写真左の台形に突出した部位がバイポッド・ランプ。けっこう大きく見えます。

コロンビア号がケネディ宇宙センターを発射してから82秒後、外部燃料タンクから、手提げカバン大の断熱材の破片が剥落し左側主翼の強化カーボンの耐熱保護パネルに直撃しました。

コロンビア号の状況を再現

コロンビア号の状況を再現

ディスカバリー号の部品を使用して作成された強化カーボン耐熱パネルの衝突試験用模型です。コロンビア号の状況を再現した実験では、パネルに大きな穴が開きました。

上記のように、事故後に発足されたコロンビア号事故調査委員会で検証した結果によりますと、破片の直撃によりパネルには直径15から20センチほどの穴が開き、大気圏突入の際に高温の空気が翼の構造内に入り込んでいました。

この時の軌道船の高度はおよそ66,000フィート(20キロメートル)で、速度はマッハ2.46(秒速840メートル、時速3,024km)ということで、実際の大気圏突入時の10分の1の高度と速度でした。

欠陥はあっても重大事故に繋がらなかった驕り

欠陥はあっても重大事故に繋がらなかった驕り

バイポッド・ランプの断熱材は、1983年から1994年の6回の飛行で一部または全部が剥落することが何度も目撃されていました。また、空力負荷突起ランプの断熱材も同じように剥落したり穴が開いたりしているのが目撃されています。しかし、重大な事故に繋がるような事態はなかったようです。

チャレンジャー号のOリングを思わせる事故

チャレンジャー号のOリングを思わせる事故

そのような経験から、NASAの技術者たちはこの現象を「剥落流」と呼び、スペース・シャトルの飛行にはついて回る現象と捉えるようになっていたのです。

チャレンジャー号のOリングの時と同じように、重大な事故が発生せずに済んでいたことによる悪癖のようなものでした。しかし、最後には大惨事になる結果が待っていたのです。

左側バイポッド・ランプは必要なかった

左側バイポッド・ランプは必要なかった

左側バイポッド・ランプとは、発砲断熱材で出来ている金属部分を覆う役目の物で、1メートルほどの大きさがあります。断熱材は空力負荷に耐えられることが要求されていて、点検や整備をするのは専門の技術者でなければならないとされています。

事故後、バイポッド・ランプは実験によって必要でないことが証明されたため、STS-107後の飛行から取り付けないようになりました。

コロンビア号空中分解事故の死者(乗組員や捜索隊)について

過去には2人の日本人が搭乗

過去には2人の日本人が搭乗

コロンビア号には過去に、日本人の向井千秋さんが1994年に搭乗、1997年には土井隆雄さんが搭乗して話題となりました。しかし、事故前ということで、まだパイポッド・ランプが装備されていました。事故が起きなかったのがラッキーとしか言いようがありませんね。

それでは、コロンビア号STS-107の乗組員を紹介していきます。

リック・ハズバンド機長

リック・ハズバンド機長

生年月日:1957年7月12日
出身地:テキサス州アマリロ
職業:空軍大佐、テストパイロット、機械工学者
宇宙滞在期間:15日22時間20分
ミッション:STS-96、STS-107

1980年にテキサス工科大学で機械工学の学士号を、1990年にカリフォルニア州立大学フレズノ校で修士号を取得。妻・娘・息子がいます。

テキサス工科大学を卒業後、アメリカ空軍に少尉として入隊し、オクラホマ州のヴァンス空軍基地でパイロットの訓練を行います。1992年6月からイギリス空軍のテストパイロットとして務めます。その後1999年にSTS-96で初宇宙飛行を経験。

ウィリアム・マッコール(軌道船操縦士)

ウィリアム・マッコール(軌道船操縦士)

生年月日:1961年9月23日
出身地:カリフォルニア州サンディエゴ
職業:海軍中佐、テストパイロット
宇宙滞在期間:15日22時間20分
ミッション:STS-107

1983年に海軍兵学校で応用科学の学士号を取得し、1985年、メリーランド大学カレッジパーク校でコンピュータ科学の修士号を取得しました。更に1992年、海軍大学院で航空宇宙工学の修士号を取得し、コロンビア号STS-107の軌道船操縦士として初の宇宙飛行を果たしました。

マイケル・アンダーソン(搭載物指揮官)

マイケル・アンダーソン(搭載物指揮官)

生年月日:1959年12月25日
出身地:ニューヨーク州プラッツバーグ
職業: 空軍中佐、物理学者
宇宙滞在期間:24日18時間8分
ミッション:STS-89、STS-107

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