回収された破片は復元作業へ

回収された破片は復元作業へ

回収された機体の破片は、NASAで復元作業が行われました。軌道船整備用格納庫の床に格子線を引いて作業員が該当箇所に破片を置いていくという大変な作業でした。

搭乗員たちは急な減圧によりあっという間に亡くなった可能性が

搭乗員たちは急な減圧によりあっという間に亡くなった可能性が

乗組員たちの死因は、飛行士が搭乗室の与圧の確保に対処する間もなく、短時間のうちに減圧が発生したため、7人の搭乗員は数秒のうちに意識を失ったと考えられています。

空気の循環系統は暫く機能していましたが、急激な気圧の低下で飛行士たちの意識は二度と戻ることがなかった可能性が指摘されています。

この見解が正しければ、飛行士たちは痛い思いや熱い思い、恐怖心を感じずにあっという間に亡くなったということで、遺族たちも少しは救われたのかもしれません。

コロンビア号空中分解事故のその後から現在まで

野口聡一飛行士のミッションが延期に

野口聡一飛行士のミッションが延期に

テキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターでは献花する人々が殺到し、飛行士たちの冥福を祈っていました。

日本人の宇宙飛行士である野口聡一氏は、コロンビア号STS-107の翌年に予定されていたISS建設ミッションに参加する予定でしたが、中止となりました。

コロンビア号を救出する2つの案

コロンビア号を救出する2つの案

NASAではこの事故について、どう対処していたら防げたのかを検討していました。その案には2つの仮定がありました。

1つ目は、当時発射準備作業中であったアトランティスで救出に向かうという案です。コロンビア号は2月15日まで宇宙に滞在することが可能であったため、発射準備中のアトランティス号であれば安全項目の点検をきちんとしたうえで救出に向かうことが可能だとされていました。

船外活動による救出案

船外活動による救出案

2つ目の案は、飛行士がEVAによって破損箇所を修理する方法でした。リスクは伴いますが、飛行士たちは日頃から想定外の船外活動を行うことを、地上で訓練していたので、不可能なことではなかったとしています。

しかし、どのような案を講じて模索しても、問題を発見した時に即座に対応しなければなんの意味も持たなかったでしょう。既にNASAでは、このような事態を何度も経験し、事故など起こるはずがないという考えに囚われている時点で、事故が起きていたと言わざるを得ません。

しかしこの事故が、後に行われる宇宙開発計画の改善に繋がることとなる尊い犠牲であったことは間違いないようです。

現在のNASAの活動状況

現在のNASAの活動状況

コロンビア号空中分解事故により、シャトル計画は一時的な中止を余儀なくされましたが、2005年7月6日に、「リターン・トゥ・フライト(飛行再開)」ミッションとして、野口聡一飛行士を乗せたディスカバリー号STS-114が打ち上げられています。

その後2度目のリターン・トゥ・フライトで、STS-121が打ち上げられ無事成功を納めました。しかし、打ち上げの都度、断熱材の剥落やETの発泡断熱材の亀裂などが認められ、予断を許さない状況です。

今後の事故遭遇に対しての対処を検討

今後の事故遭遇に対しての対処を検討

2008年12月30日に、NASAではコロンビア号乗組員の検死報告書を公表。いかにしたら搭乗員の命を守ることが出来るのかを言及しています。

その対策として、飛行士の座席への束縛方法強化や船室の急激な減圧に対する対処方法の研究、万が一不慮の事故に遭い、機体が分解した場合でも、飛行士が生存できるような「ゆるやかな崩壊」をする機体の開発、自動パラシュート装置の設置などが検討されているようです。

コロンビア号空中分解事故の原因や死者と残骸/遺体/その後【まとめ】

・コロンビア号空中分解事故は、2003年2月ミッションを終えたコロンビア号が帰還する際の大気圏突入時に起きたスペースシャトルの空中分解事故で、7名の乗組員が犠牲となった。

・事故の原因は、打ち上げの時に外部燃料タンクの発泡断熱材が空力によって剥落し破片が左主翼前縁を直撃、大気圏突入時に生じる高温から機体を守る耐熱システムが損傷したことだった。

・飛行士の遺体や機体の破片などの残骸は、テキサス州東部からルイジアナ州西部およびアーカンソー州南西部までの約2000ヵ所以上で発見された。

・飛行士が搭乗室の与圧の確保に対処する間もなく短時間のうちに減圧が発生したため、7人の搭乗員は数秒のうちに意識を失ったと考えられている。

1986年2月に起こったチャレンジャー号爆発事故では、宇宙空間にも辿り着けず、ミッションも行われずに散っていきました。コロンビア号の唯一の励ましとなったのは、宇宙空間の中でミッションが終了したことの一つにつきます。宇宙開発事業は幾度もの事故に屈することなく、今後も続いていくのではないでしょうか。

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