ウォーターゲート事件の概要

ウォーターゲートビルの侵入・盗聴が発端の事件

ウォーターゲートビルの侵入・盗聴が発端の事件

ウォーターゲート事件とは、1972年の大統領選挙戦の最中に、当時民主党全国委員会本部があったワシントンD.C.のウォーターゲートビルに、CIA職員で配管工のバーナード・バーカーを始めとする5人が、盗聴器を仕掛けようとして侵入し、警備員に発見されて逮捕されたことが発端となった事件です。

逮捕された5人は、共和党候補のニクソン大統領再選委員会の関係者であることが発覚、しかし、大統領関係者は「侵入事件はニクソン政権とは無関係」であるとしていました。

ニクソン政権側はもみ消しや録音テープ提出拒否も

ニクソン政権側はもみ消しや録音テープ提出拒否も

その後、ワシントン・ポスト誌などがこの事件には政権内部が深く関与していることを暴露。更に、ホワイトハウスがその後の捜査妨害やもみ消しに直接関わり、大統領執務室での会話が録音されたテープが存在したことが上院調査特別委員会により明らかにされました。

ニクソン政権は、事件の調査のために設けられた特別検察官を解任したり、テープの議会提出を拒絶したりするなどの捜査妨害が見られました。

アメリカ史上初の現役大統領辞任

アメリカ史上初の現役大統領辞任

そのため、不誠実なニクソン政権に対して、世論からも猛反発を生み、大統領弾劾の勢いも激しくなって、アメリカ史上初の現役大統領の辞任に至りました。

ウォーターゲート事件の経緯をわかりやすく説明

事件のきっかけとなった不法侵入・盗聴事件

ウォーターゲートビルのドアロック部分にテープが

ウォーターゲートビルのドアロック部分にテープが

1972年6月17日午前2時、民主党全国委員会本部があるウォーターゲートビルの警備員であるフランク・ウィルズは、階段の最下部の吹き抜けと駐車場にあるドアのロック部分に、テープが貼られているのを発見しました。

このドアは、駐車場からの不正侵入を防ぐため、駐車場側からはロックがかかるようになっていたのです。フランク・ウィルズはテープを剥がし、また戻ると再び同じようにテープが貼られていました。

不審に思い警察に通報したのが、この事件の始まりでした。その後警察が到着し、刑事3人が6階の民主党全国委員会本部に通じるドアの鍵が開いているのを確認し、拳銃を持って中に入り不法侵入していた5人の男の逮捕に至りました。

5人の男が不法侵入で逮捕

5人の男が不法侵入で逮捕

その男達は、写真左からジェームズ・W・マッコード・ジュニア、バージリオ・ゴンザレス、元アメリカ兵のフランク・スタージス、ユージニオ・マルチネス、元CIA職員で配管工のバーナード・バーカー、の5人と断定。

彼らはその3週間前にも侵入し、盗聴器を仕掛けましたが作動しないため今回の侵入に至ったことが調べで判明しています。

初動捜査で侵入犯がニクソン大統領の関係者であることを突き止める

5人の中にはニクソン大統領再選委員会関係者も

5人の中にはニクソン大統領再選委員会関係者も

逮捕された5人のうち、ジェームズ・W・マッコード・ジュニアは逮捕時にエドワード・マーチンと名乗っており、ニクソン大統領再選委員会の警備主任であることが判明。更に、CIAの元工作員であることがわかりました。

そのうち3人は第一次キューバ危機の時の退役軍人でCIA工作員のキューバ人でした。フランク・スタージスは、ニクソン大統領再選委員会のメンバーだったということ。

侵入犯が滞在していたホテルから100ドル紙幣53枚が

侵入犯が滞在していたホテルから100ドル紙幣53枚が

彼らが滞在していたウォーターゲートホテルの部屋からは、100ドル紙幣53枚が見つかり、その出所に疑惑がもたれました。

また、警察が押収した手帳からはユージニオ・マルチネスとチャールズ・コルソンの名前が記してあり、チャールズ・コルソンに至っては当時のホワイトハウスの顧問を務めていました。

侵入犯の影にはエヴェレット・ハワード・ハント・ジュニアの存在が

侵入犯の影にはエヴェレット・ハワード・ハント・ジュニアの存在が

マルチネスの手帳には元CIA工作員でホワイトハウス非常勤顧問のエヴェレット・ハワード・ハント・ジュニアの名前と自宅の電話番号、そして「HOUSE・WH」という文字も記されていたのです。ハントは、当時ホワイトハウス向かいのビルにある広告会社に勤務。

アール・J・シルバート主任検事補を始めとするワシントン連邦地方検事局では、これらの人物の調査を開始。5人の背後には必ずハントの存在があることにも着目し、そのことから侵入犯がニクソン大統領に近い関係にあるのではとの疑念を抱きます。

報道担当官ロナルド・ジーグラーは事件の関与を全面否定

報道担当官ロナルド・ジーグラーは事件の関与を全面否定

この事件を受けてニクソン大統領の報道担当官ロナルド・ジーグラーは、「三流のコソ泥」と銘打って、事件への関与を全面から否定。

「ドアのテープは内部に入れば必要ない、これはプロのする仕事ではない。ヘマなやり方だ」とし、上層部がやった犯行ではなく、他の人間が軽はずみにやったことという印象を植え付け、当時の大統領選には影響が出なかったようです。

大陪審で7人目の犯人が浮かび上がる

侵入認めるも依頼主や金銭授受については黙秘

侵入認めるも依頼主や金銭授受については黙秘

同年6月30日、ワシントン連邦地方裁判所で大番審が開かれました。侵入犯5人は、ウォーターゲートビルへの侵入は認めましたが、その目的や誰の依頼なのか、金銭の授受はあったのかなどには黙秘を行使。

後から浮上した人物のハワード・ハントは姿を隠してしまいます。しかし、5人の弁護を引き受けた弁護人が、「ハント氏ともう一人の弁護も引き受けている」と証言したことから、もう一人の存在を追及され黙秘権を行使。

3回目の大陪審までもつれ込みましたが、それでも黙秘したことから裁判長のジョン・J・シリカ氏が法廷侮辱罪で処罰すると宣言しました。

もう一人の犯人は大統領再選委員会財政顧問のジョージ・ゴードン・リディ

もう一人の犯人は大統領再選委員会財政顧問のジョージ・ゴードン・リディ

大番審の最中にも同時進行で行われていた特捜部の捜査では、侵入犯であるバーナード・バーカーの事務所から、犯行当日12回も同じ電話番号と通話している記録を発見。

その番号が大統領再選委員会財政顧問のジョージ・ゴードン・リディであることが判明しました。その後バーナード・バーカーは自供し、弁護士ももう一人の依頼人がリディであることを認めました。

姿を消していたハントも大陪審に出頭し、リディが逮捕されてこの事件の背後に存在したのがハントとリディであることが明らかになっています。

後に侵入犯5人を含む7人は「ウォーターゲート・セブン(watergate seven)」と呼ばれることとなります。

ウォーターゲート事件裁判

罪を認めて要点は口をつぐむ

罪を認めて要点は口をつぐむ

1973年1月8日、エヴェレット・ハワード・ハントとジョージ・ゴードン・リディを加えた7人の侵入事件の大陪審では、ジェームズ・W・マッコード・ジュニアとリディ以外の5人が有罪を認めましたが、その背後関係や金銭授受については依然として口を閉じたままでした。

本来であれば、7人全員が不法侵入及び盗聴で有罪となる予想でしたが、証言なしで有罪を認めるよう賄賂が支払われたという事実が明るみに出たのです。

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