マッコードの疑念が真実を明らかに

マッコードの疑念が真実を明らかに

その事実を白日の下にさらしたのはジェームズ・W・マッコード・ジュニアでした。マッコードは、自分が主犯格としてCIAの単独工作で行ったとし、罪だけを認めて刑に服し、幕引きとなるのではないかと察知。

刑に服している間の家族の面倒を見るとの約束に疑いを抱くようになりました。そのため、3月19日裁判長に真実を記した手紙を送りました。その内容の一部を以下に引用しました。

「罪を認めてその他は一切しゃべるなという政治的圧力を受けている」
「公判でいくつかの偽証があった」
「他にも関係者はいるが公判では一切明らかにされていない」
「ウォーターゲートはCIAの作戦の一環ではない」
3月23日に仮判決を言い渡す

3月23日に仮判決を言い渡す

この事実からシリカ裁判長は、3月23日の判決を言い渡す際にマッコードの手紙を読み、リディに懲役20年の刑を、マッコード以外の残りの5人に懲役35年の仮判決を言い渡します。

それと同時に、事件調査に協力的な姿勢を見せるなら、3か月後に減刑することも付け加えました。そして、マッコードについては判決言い渡しを延期しています。

判決翌日のマッコードの爆弾発言で捜査が進展

判決翌日のマッコードの爆弾発言で捜査が進展

判決後の翌3月24日にマッコードは、上院特別調査委員会の証人として証言を行いました。その内容が「盗聴計画に承認を与えた人物は、大統領再選委員会委員長のジョン・N・ミッチェル前司法長官、大統領再選委員会副委員長のジェブ・スチュアート・マグルーダー、そして、大統領法律顧問ジョン・ディーンの3名である」という爆弾発言でした。

裁判後のホワイトハウス内部の進展

ニクソン大統領が態度を一転させる

ニクソン大統領が態度を一転させる

マッコードの発言を受けたニクソン大統領は、それまで事件に関してのスタッフの証言を頑なに拒否してきた態度を一転、4月17日に「その調査で新たな進展があり、事件捜査には全面的に協力して、いかなるもみ消し工作も強く非難する」と態度を翻します。

この発表はあくまでも大統領自身には非がないかのような発表でした。しかし、この1年後に本当のことが明白になるのです。

法律顧問のジョン・ディーンをもみ消し工作の標的に

法律顧問のジョン・ディーンをもみ消し工作の標的に

マッコード発言から4週間後の1973年4月19日、大統領法律顧問のジョン・ディーンは、「ニクソン大統領は私を身代わりにしようとしている」と発言し、ホワイトハウス内を大混乱に陥れました。

続けて、ニューヨーク・タイムス紙は4月20日に「盗聴計画の共同謀議はミッチェル、ディーン、マグルーダー、リディによって1972年1月から3月の間に3回行われた」とスクープ。更に、ディーンが侵入犯らに口止め料を支払ったと報じています。

これを受けたディーンは法律顧問を解雇され、その後開かれた上院特別調査委員会で、ニクソン大統領がもみ消し工作を行った旨の証言をします。

ハルデマンとアーリックマン両大統領補佐官が辞任

ハルデマンとアーリックマン両大統領補佐官が辞任

ディーンの問題の波及は、ハルデマンとアーリックマン両大統領補佐官にまで及び、ディーン解雇の後辞任を余儀なくされました。

その後5月18日に、新たに司法長官に任命されたエリオット・L・リチャードソンは、特別検察官にケネディ大統領時代の司法次官であったアーチボルド・コックスを任命。ニクソン大統領は不利な立場に立たされることとなりました。

上院特別調査委員会への録音テープの提出

ホワイトハウスでの会話録音テープの存在

ホワイトハウスでの会話録音テープの存在

上院特別調査委員会に出席したバターフィールド大統領副補佐官は、ホワイトハウスでは大統領執務室での会話が録音されているテープが存在し、ニクソン大統領とディーンの会話も録音されている。

そのテープから2人の発言が真実かを証明することが出来る証拠に繋がることを証言します。

テープ提出は連邦裁判所でも支持

テープ提出は連邦裁判所でも支持

この証言から、コックス特別検察官を含む上院特別委員会では、ホワイトハウスに大統領との会話が録音されているテープ8本の提出を求めます。しかしニクソン大統領は、それまでの発言と食い違う事が明らかになるのを恐れ、提出を拒否します。

この問題は裁判に持ち込まれ、8月29日にワシントン地裁のシリカ判事がテープの提出を認め、連邦控訴裁判所もこれを支持します。

土曜日の夜の虐殺に発展する

リチャードソン司法長官とラッケルズハウス副長官の抗議辞任

リチャードソン司法長官とラッケルズハウス副長官の抗議辞任

一気に苦境に追い込まれたニクソン大統領は、妥協案としてテープを精査して提出する案を提示しますが、コックスがこれを拒否。その後、提出命令を無効にするよう命じるも、再び拒否しテープの提出を求めます。

最終的にボーク訟務長官がコックスを解任

最終的にボーク訟務長官がコックスを解任

この事を受けてニクソン大統領は、コックス特別検察官の解任をエリオット・リチャードソン司法長官に命じますが、これを拒否しリチャードソンは辞任します。

ニクソン大統領は次にラッケルズハウス副長官にもコックス解任を命じますが、ラッケルズハウスはこれを拒否し辞任します。

それでも諦めなかったニクソン大統領は、ロバート・H・ボーク訟務長官に任命し、拒否できなかったボークはコックスを解任しました。

この出来事は後に「土曜日の夜の虐殺」と呼ばれ、ニクソン大統領は特別検察官を力でねじ伏せ、重要な閣僚である司法長官と次官を抗議による辞任に追いやったということで、アメリカ中に非難されることに。

その後議会では大統領弾劾が始まり、録音テープの提出命令に従わざるを得なくなります。

「合衆国対ニクソン事件」裁判へ

最初にテープからの書き起こしを提出

最初にテープからの書き起こしを提出

いよいよテープ提出を拒めなくなったにニクソン大統領は、ホワイトハウスが編集したテープの筆記録を提出することで連邦地裁と合意。しかし、筆記録には何カ所もの削除や訂正箇所があり、世論からも非難の嵐を浴びることとなって録音テープの一部を提出します。

最終的に64本のテープを提出

最終的に64本のテープを提出

しかし、このテープの一部にも18分30秒の消去された箇所が発覚。その後1974年4月30日に、42本のテープから書き起こした資料1200ページを提出します。

このテープ問題は最高裁判所まで争われ、結局7月30日に問題のテープを含めて64巻のテープの提出に至ります。「合衆国対ニクソン事件」は終始録音テープの争いで終わりました。

しかし、このテープの提出がニクソン大統領の政治生命の致命傷となります。

大統領弾劾裁判

議会での大統領弾劾発議

議会での大統領弾劾発議

裁判後に大統領弾劾発議が成され、下院司法委員会で弾劾の調査を始めます。ニクソン大統領の与党である共和党からも大統領の違法行為が厳しく非難されました。

1974年7月27日の下院司法委員会の表決では、27票対11票で大統領に第1の弾劾(司法妨害)を勧告することが可決されました。第2の弾劾(権力の乱用)でも28票対10票、第3の弾劾(議会に対する侮辱)でも21対17で可決されました。

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