黒人参政権演説が暗殺計画に代わった理由

黒人参政権演説が暗殺計画に代わった理由

その後、1865年4月10日に北軍が勝利し、南北戦争が終結を迎えます。その翌日リンカーン大統領は、黒人に参政権を認めたい演説を行い、それを聞いたブースが怒り、誘拐計画から暗殺計画へと変わっていきます。

リンカーン暗殺の経緯

リンカーン暗殺の経緯

少し遅れフォード劇場に着いたリンカーン夫妻は、ヘンリー・ラスボーン少佐とその婚約者のクララ・ハリスと共に『われらのアメリカのいとこ』を観劇していました。

その時リンカーンは、妻のメアリーの手を握っていたそうです。メアリーは恥ずかしそうに「ハリス嬢が見たらどう思うかしら」と夫のリンカーンを窘めると、リンカーンは「別になんとも思わないさ」と答えたということ。この言葉がリンカーン大統領の最後の言葉となっています。

その直後、ブースがリンカーンの頭めがけてデリンジャーピストルを発射したのです。大統領は前のめりに倒れ、これに気付いたラスボーンがブースに飛び掛かります。

しかしブースは、2階席から舞台に飛び降りて、劇場の裏口から待たせていた馬車に乗って逃走しました。

ウィリアム・スワード暗殺の経緯

ウィリアム・スワード暗殺の経緯

ウィリアム・スワード殺害を依頼されていたのはルイス・パウエル。この時スワードは馬車の事故で養生を余儀なくされていました。

パウエルとヘロルドはスワードの自宅に向かい、ヘロルドが馬車で待機しパウエルが1人でスワード邸のドアをたたきます。パウエルはヴェルディ医師の指示で薬を持参したという口実で邸内に入り、3階の寝室に行きます。

しかし、スワードの息子のフレデリックがパウエルを止めたので、いったん帰る素振りをしますが、踵を返してフレデリックの頭をリボルバーで殴打します。

フレデリックが倒れると、すかさずスワードの寝ている部屋に押し入って、ナイフで何度もスワードを刺しているところを、看護兵のジョージ・ロビンソン軍曹とスワードの息子のオーガスタス・スワードが飛び掛かって食い止めます。

馬車で待っていたヘロルドは、騒ぎに気付いてパウエルを待たずに逃げてしまいますが、パウエルも逃走に成功。

2人の助けが入ったことで、スワードは一命をとりとめました。

リンカーン大統領暗殺事件のその後

犯人の逃避行

犯人の逃避行

リンカーン大統領の暗殺を受け、アメリカ合衆国最大の捜査が始まった中、ブースとヘロルドは逃走後落ち合うことに成功します。その後南軍工作員の医師サミュエル・マッドによりブースの骨折治療を行い、下院議員のサミュエル・コックスの手引きで、南軍支持者の多いバージニア州に逃げるボートと羅針盤を渡されます。

4月24日に着くと、南軍の兵士と偽ってリチャード・ギャレットという人物の農園に泊めてもらうことに。しかし、その言葉を疑ったリチャードは、2人を倉庫に連れて行ってカギをかけたのでした。

ジョン・ウィルクス・ブース銃殺・デイヴィッド・ヘロルド逮捕

ジョン・ウィルクス・ブース銃殺・デイヴィッド・ヘロルド逮捕

その近くを捜査していたエヴァートン・コンガー大佐率いる捜索隊が2人の情報を聞き出し、リチャードの農園で聞き込みをしたところ、倉庫にいることを聞き出してヘロルドは投降しますが、ブースは逮捕に抵抗しました。

そのため、倉庫に火を放ちおびき出そうとしますが失敗し、銃撃によって首を撃ち抜かれ脊椎を損傷して、首から下が麻痺した状態で火の中から引きずり出されます。

その傷は奇しくも、ブースが暗殺したリンカーン大統領の傷とそっくりだったそうです。傷を手当てしようとしますが拒否され、「母に私は国のために死んだと伝えてくれ」と言い残して苦痛の中死んでいきました。

暗殺犯8人の裁判

暗殺犯8人の裁判

その後共犯者として捕らえられた者も含めて8人の裁判が行われました。判決は、メアリー・サラット、ルイス・パウエル、デイヴィッド・ヘロルド、ジョージ・アツェロットが絞首刑、サミュエル・マッド、サミュエル・アーノルド、マイケル・オロフレンは終身刑、エドマン・スパングラーは懲役6年となりました。

女性初の絞首刑も

女性初の絞首刑も

尚、メアリー・サラットの絞首刑は、アメリカで最初の女性の絞首刑ということです。執行は1865年7月7日でした。また、終身刑の1人であるマイケル・オロフレンは2年後の1967年に黄熱病で死亡しました。

サミュエル・マッド、サミュエル・アーノルド、エドマン・スパングラーらはジョンソン大統領により恩赦を受け、後に釈放されました。

リンカーン暗殺の影響

リンカーン暗殺の影響

リンカーン大統領の死はアメリカの国民にも大きな影響を与えました。国中でリンカーンの死を悼み、ブースに賛同した者は激しい攻撃を受けます。

リンカーンの死から2日後は復活祭で、全国の教会が追悼説教を行っています。また、1865年4月19日に執り行われたリンカーン大統領の葬儀には、全国から数万人が集まりました。

リンカーンの遺体が乗せられた列車は、ニューヨークからイリノイ州スプリングフィールドまでの2500kmの葬送となり、その道中に数十万人の人々が集まって死を悼んでいました。

リンカーン大統領暗殺事件の真相や犯人とその後【まとめ】

リンカーン大統領暗殺事件の真相や犯人とその後をまとめてきました。次期大統領であるユリシーズ・グラントは、リンカーンを「世界で最も偉大な人物」と称賛しました。

その後もケネディ、ガーフィールド、マッキンリー、レーガン大統領の暗殺、または暗殺未遂事件が起きることとなりますが、人種の坩堝と言われるアメリカの政治は、困難を極めるものでもあるようです。

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