アメリカの公民権運動の指導者であり、黒人の人種差別の歴史におけるキーパーソンとして知られるキング牧師が頭角を現し出したのは、1955年の終わり頃のことでした。

当時のアメリカでは、バスに白人優先席というものがあり、白人男性に席を譲ることを拒否した一人の黒人女性が逮捕、拘留されました。

この事件の裁判をきっかけに、モンゴメリー・バス・ボイコット運動が組織されたのですが、この抗議運動の指導者として選ばれたのが、当時まだ26歳だったキング牧師でした。

実に381日間に渡るボイコット運動を経て、連邦裁判所は遂に人種分離法が違法であるとの判決を下したのです。

リンカーン大統領が奴隷解放宣言を行って、ちょうど100年目に当たる1963年8月、20万人を超える人々が、黒人差別の即時撤廃を求めてワシントンDCから連邦議会議事堂へと行進しました。

この「ワシントン大行進」と呼ばれるデモの中で、キング牧師が行った「I Have a Dream（私には夢がある）」というスピーチはあまりにも有名ですね。

ちなみに、このスピーチの中の「すべての人間は平等に作られているということは、自明の真実であると考える」は、アメリカ独立宣言の言葉なのだとか。

そして、その翌年である1964年には、キング牧師はノーベル平和賞を受賞するのですが…先の演説をしたたった5年後の1968年4月4日、キング牧師は暗殺され、この世を去っています。実に39歳の若さでした。

ノーベル平和賞まで受賞した“聖人”であるキング牧師ですが、その死後、実は大の女好きだったという事実が明らかになっています。

2014年11月12日、ジョン・エドガー・フーヴァー率いるFBIが、1964年にキング牧師に送りつけたと言う、罵詈雑言に満ちた書簡のほぼ全文が、米紙ニューヨーク・タイムズに掲載され、大変な話題になりました。

盗聴によって入手した、キング牧師の不倫の証拠とされる録音テープとともに送りつけられたという、その書簡の具体的な内容と、その狙いは次の通りです。

当時の公民権運動は、一つ間違えば内乱に発展する可能性もあったことから、政府やFBIは同運動の指導者だったキング牧師を排除しようと躍起になっていたことを窺わせますね。

ただ、キング牧師はこの件について、親しい知人などに次のように語っていたことが、没後に明らかになっています。

そして、1968年4月4日、キング牧師は愛人の部屋が出たところを暗殺され、この世を去っています。