中村哲を殺害した犯人(主犯格)を特定!しかし、本当の黒幕は「共犯者」

中村哲を襲ったのは誘拐目的で殺害する気はなかった…

そんな中だった2021年2月、アフガニスタンの捜査当局は、中村哲さんを殺害した犯人グループの主犯格を特定したと発表しました。

この男は40歳前後のパキスタン人で、イスラム武装勢力「パキスタン・タリバン運動(TTP)」の地方幹部・アミール・ナワズ・メスード氏とのこと。

TTPの地方幹部・アミール・ナワズ・メスード氏

TTPの地方幹部・アミール・ナワズ・メスード氏

しかし、このアミール氏は2021年1月末に、首都カブールで別の襲撃事件を起こした際、警備員に射殺され、死亡している可能性が高いのだとか。

中村哲の誘拐を持ちかけてきた「共犯者」が殺害してしまった…

このアミール氏は、パキスタン北西部出身で、地元で誘拐による身代金を資金源にしていた人物とされています。

そして、そんなアミール氏に近づいたのが、パキスタン出身の「共犯者」と呼ばれる中年男性でした。

「共犯者」は、事件が起きる2ヶ月近く前から、ナンガルハル州で灌漑(かんがい)事業を進めていた中村哲さんを尾行していたと言います。

そして、この「共犯者」は地元で誘拐を繰り返していたアミール氏に接触し、「ナカムラを誘拐しよう」と誘ったのだとか。

つまり、犯行グループを束ねていたのはアミール氏でしたが、計画をもちかけたのは「共犯者」であり、しかも犯行時のどさくさに紛れて中村哲さんを銃撃し、そのままパキスタンに逃げ帰ったと言われています。

実際、アミール氏は生前、「中村哲さんを誘拐するつもりだったが、「共犯者」が勝手に殺してしまった」と周囲に漏らしていたと言います。

アミール氏の知人による次のような証言もありました。

知人は、アミール構成員が事件後に「共犯者」に電話して、「なぜ撃った」「お前のせいで俺に捜査が集中する羽目になった」と声を荒らげる場面を目撃したと語った。

この「共犯者」は、現在、パキスタン北西部で暮らしているとの情報もあるようですが、どのような勢力に属しているかなど、その具体的な背景については、現時点ではよくわかっていないようです。

中村哲が殺害された後のアフガニスタンの現在について

中村哲の功績を讃える記念塔が完成

2020年10月、国際NGO組織「ペシャワール会」は、前年12月にアフガニスタン東部のナンガルハル州で殺害された、中村哲さんの功績を讃える記念塔の完成を発表しました。

アフガニスタン・ナンガルハル州に完成した中村哲さんの記念塔

アフガニスタン・ナンガルハル州に完成した中村哲さんの記念塔

白を基調にした高さ15メートルの大理石で作られた塔で、中心部には優しく頬笑む中村哲さんの似顔絵が描かれています。

この記念塔が設置された公園は、中村哲さんが尽力した潅漑(かんがい)事業により緑が蘇った、アフガニスタン東部のガンベリ砂漠地帯にあり、生前の中村哲さんのお気に入りの場所なのだとか。

この記念塔の建設に携わった現地スタッフは次のように話しています。

「中村医師が誠実にアフガンに尽くした歴史を語り継ぐ記念塔だ。多くの人が訪れ、祈りをささげることを願っている」

中村哲がアフガニスタンの切手に…

さらに、2021年1月14日、アフガニスタン政府が大統領府で式典を開き、中村哲さんの長年に渡る人道支援活動の功績を讃え、彼の肖像画をデザインした切手が制作されたことを発表しました。

アフガニスタンの大統領府で開かれた式典の様子

アフガニスタンの大統領府で開かれた式典の様子

中村哲さんを描いた切手のデザインが公開されました。

ちなみに、切手の価格については、この時点ではまだ決まっていなかったようで、担当者は次のように語っていました。

「誰もが購入できるよう安価に設定するつもりだ。切手を手に取ってもらい、中村医師の貢献をいつまでも記憶にとどめてほしい」

ところが、その約7ヶ月後の同年8月15日、そんなアフガニスタン情勢が一変するんですよね。

米バイデン大統領の決定により、アフガニスタンに駐留する米軍が同国から撤退を開始したのです。

すると、アフガニスタンの反政府勢力・タリバンが一気に攻勢をしかけ、瞬く間に首都カブールを包囲して大統領府を掌握。これに恐れをなしたガニ大統領はさっさと国外に脱出し、政権はアッサリ瓦解してしまうことに…。

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