そして、ブレイビクは悪びれる様子もなく、自身の犯行動機について次のように供述したと言います。

「移民にノルウェーが乗っ取られると思った。必要なことだと思った。人が死ぬのは仕方がないと思った、だから私は無罪だ」

ノルウェー連続テロ事件の生存者が語るウトヤ島銃乱射事件

2011年7月22日午後3時半頃、ノルウェーの首都オスロの中心部にある行政機関の庁舎が建ち並ぶエリアで、ブレイビクが仕掛けた自動車爆弾が爆発しました。

その直後、ブレイビクはタクシーを拾い、次のテロ現場となるウトヤ島の対岸まで行った後、用意してあった警察官の制服に着替えて警察官になりすますと、ボートでウトヤ島に上陸しました。

ブレイビクが逮捕時に身に付けていた偽造の警察身分証

ブレイビクが逮捕時に身に付けていた偽造の警察身分証

ブレイビクが次のテロ現場にウトヤ島を選んだ理由は、ウトヤ島には当時、ブレイビクが忌み嫌うノルウェー労働党の青年部によるサマーキャンプが行われており、およそ600人の青年部員が滞在していたからです。

ちなみにノルウェーでは、優秀な政治家を育てる機関と位置づけられた“青年部”が各政党ごとにあり、夏になると10代~20代の若者を集めて、サマーキャンプを開催する習慣があるんですよね。

ブレイビクはまさに、将来の労働党を背負って立つ政治家の卵である青年部の10代~20代の若者を狙ったわけです。

ウトヤ島で開催された労働党のサマーキャンプ

ウトヤ島で開催された労働党のサマーキャンプ

事件の前日に撮影された写真

その当時、サマーキャンプに参加していた青年部員たちは、この日の午後3時半頃に首都オスロの政府庁舎付近で起きた爆発事件について、知らせを受けたばかりでした。

そこへ現れたのが、警察官姿で銃を持ったブレイビクだったのです。

彼は「キャンプ参加者を守るために来た」と言いながら、青年部員たちを一ヶ所へ集合させようとしていたと言います。この時のブレイビクについて、ウトヤ島銃乱射事件の生存者は次のように語っています。

銃を持った男は、「こちらへおいで。大事なお知らせがある。こちらへおいで。怖がることはないよ」と呼びかけてから、銃を乱射したという。

(中略)

「人びとがあらゆる方向に逃げ回ってた。男は撃って、撃ちまくった」

さらに別の生存者は、その時の緊迫した状況について、次のように語っています。

「みんなのことを撃ち始めたので、僕は横になって死んだふりをした。2メートルも離れていないところに立っていた。あの男の息が聞こえてきたし、銃が熱くなっているのも分かった。彼は1人1人、生きているかどうか蹴って確かめたり、銃を撃ったりしていた」

まさに地獄絵図ですね。ブレイビクは確実に命を奪うため、各人に必ず2発ずつの弾丸を撃ち込んでいたとも言われています。

ウトヤ島銃乱射事件を72分間ワンカットで撮影した映画が話題に!

そんなウトヤ島銃乱射事件をテーマにした映画「ウトヤ島、7月22日」が2019年3月に公開され話題になりました。

映画「ウトヤ島、7月22日」

映画「ウトヤ島、7月22日」

当時、ウトヤ島から度重なる救助要請があったにもかかわらず、警察の初動ミスや通信トラブルが重なったことで、警察の特殊部隊の到着が遅れ、ブレイビクの凶行は72分間にも及びました。

同映画は、ウトヤ島での無差別銃乱射事件が発生してから終息に至るまでの72分間を、実際の時間と同じ尺で、しかもワンカットで撮影した作品なんですよね。

センチメンタルなドラマや音楽などの装飾を一切排除し、登場人物の心の葛藤と身体的な反応を生々しいほどダイレクトに伝えてくる。映画と観客の間の垣根をすべて取り払い、想像を絶する緊迫感と臨場感でこのテロ事件を体感させる衝撃作になっている。

犠牲者77人の連続テロをワンカットで撮影した衝撃作/映画『ウトヤ島、7月22日』予告編 - YouTube

出典:YouTube

ノルウェー連続テロ事件のその後と現在は?

大量殺人犯が「人権」を楯に処遇改善を求め勝訴

ノルウェー連続テロ事件の犯人・ブレイビクは、77人もの罪のない人を殺害した罪により、2012年、ノルウェーの最高刑である禁固21年の刑を言い渡され、その後服役していました。

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