トンガ王国で1000年に1度の海底火山大噴火が発生!

日本から約8000キロ離れた、南太平洋上に浮かぶ島々からなる地上の楽園、トンガ王国。

そんなトンガ王国の首都ヌクアロファから、北へ約65キロほど船で進むと、海抜100メートル程の2つの小さな無人島「フンガハアパイ」と「フンガトンガ」が海面に顔を覗かせています。

トンガ王国の「フンガハアパイ」と「フンガトンガ」の位置関係

トンガ王国の「フンガハアパイ」と「フンガトンガ」の位置関係

そして、その2つの島の下に眠るのが…高さ約1800メートル、幅20キロにも及ぶ巨大な海底火山なんですよね。

「フンガハアパイ」と「フンガトンガ」の下に眠る巨大な海底火山の全容

「フンガハアパイ」と「フンガトンガ」の下に眠る巨大な海底火山の全容

つまり、無人島「フンガハアパイ」と「フンガトンガ」という2つの島として見えているのは、この海底火山の頂上付近にあるカルデラの縁の一部なのです。

そして、日本時間の2022年1月15日午後1時頃、この巨大な海底火山で大噴火が発生しました。

海底火山が噴火した直後の様子

海底火山が噴火した直後の様子

噴煙は上空1万6000メートルに達したとも…

この噴火による噴煙は、上空1万6000メートル余りに達したとも見られており、噴煙が一気に立ち上がり、周辺に拡大していく驚異的な様子は、気象衛星「ひまわり8号」でも捉えられました。

噴煙が同心円状に一気に拡大していく様子

噴煙が同心円状に一気に拡大していく様子

噴煙の半径は最大でおよそ250キロにも達したと言われています。

アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、トンガ王国で起きた海底火山の噴火により放出されたエネルギーの量は、TNT火薬4~18メガトンに相当し、第2次世界大戦で広島に投下された原爆の何百倍もの威力があったそうです。

その衝撃波はおよそ2000キロ離れたニュージーランドでも観測されたほどでした。

また、この噴火によりトンガ王国の全ての島々は、最大で15メートルもの高さの津波に襲われ、トンガ王国の人口の80%以上が噴火とそれによる津波、さらに火山灰の影響を受けていると発表されました。

今回起きた海底火山の大規模噴火は、およそ1000年ごとに繰り返し発生しており、前回は1100年に起きたことが分かっているのだとか。その意味で今回の噴火は、まさに1000年に1度の大噴火と言えそうです。

トンガ王国と日本は昔から親交が深かった

トンガ王国は、日本から約8000キロも離れた南太平洋上の島国ですが、トンガは南太平洋唯一の王国として知られており、トンガの王室と日本の皇室は古くから親密な交流を重ねてきました。

トンガ国王の戴冠式に出席された皇太子ご夫妻(当時)

トンガ国王の戴冠式に出席された皇太子ご夫妻(当時)

実際、7年前に行われたトンガ国王の戴冠式には、当時皇太子だった天皇陛下が皇后雅子さまとともにトンガを訪問され、トンガの国民から熱烈な歓迎を受けられています。

また、トンガ王国はラグビーが盛んで、ラグビーW杯2019日本大会で日本代表として大活躍した、ヴァルアサエリ愛選手、中島イシレリ選手の母国でもあるんですよね。

2019年W杯アイルランド戦後の一枚

2019年W杯アイルランド戦後の一枚

左からヴァルアサエリ愛選手、中島イシレリ選手、トンプソン ルーク選手

トンガ王国が東日本大震災の時にしてくれた支援

東日本大震災の時に受けたトンガ王国の心温まる支援

そして今回、海底火山の大噴火により、町に津波が押し寄せ大変な被害を受けているトンガ王国ですが、奇しくも日本でも、2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波により甚大な被害を受けました。

そして、その時に最大の親日国とも言えるトンガ王国が、日本に対してしてくれた心温まる支援が、時を経て再び注目を集めているようです。

日本への義援金募集を呼びかける横断幕

日本への義援金募集を呼びかける横断幕

簡単にまとめてみると…


① トンガ政府より義援金20万パアンガ(約900万円)が贈られた
② トンガ国王からすぐに弔意のメッセージが届いた
③ 「トンガより愛をこめて」とのメッセージとともに里芋が贈られた
④ その里芋の輸送にはカボチャ生産者やトンガ政府、輸送会社などが協力した
⑤ バオトゥ小学校の校長と生徒らが日本大使館を訪問して義援金を手渡した
⑥ トンガ・日本帰国留学生会は、活動資金集めを目的にイベントを計画していたが、東日本大震災の発生を受けて、イベントで得られた資金の半分を義援金として寄付することを決定した


などなど、トンガ政府レベルだけではなく、民間レベルでの支援の輪が広がっていたんですよね。

日本への義援金の協力を呼びかけるボランティア

日本への義援金の協力を呼びかけるボランティア

トンガ王国の義援金は金額的には小額だが国家予算で比べると…

東日本大震災に際して、海外から贈られた義援金の総額は、およそ「570億円」にも及びました。

一方、2011年3月24日時点での外務省発表によるトンガ政府からの義援金額は、前述したように20万パアンガ(約900万円)でした。

単純に支援金の金額だけを見ると、第1位はアメリカ合衆国の約230億円、第2位は台湾の約67億円、そして第3位はカナダの約40億円と続いており、トンガの約900万円とは文字通り、桁が違うんですよね。

しかし、各国のGDP(国内総生産)…つまり、一定期間内に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値、より簡単に言えば「もうけの合計額」を比べてみると…


 ・ アメリカ: 22,675,271(百万US$)
 ・ 台湾: 759,104(百万US$)
 ・ カナダ: 1,883,487(百万US$)


であるのに対してトンガ王国は…

 ・ トンガ王国: 508(百万US$)

しかなく、日本への貢献度の高さが話題になった台湾と比べても、トンガ王国のGDPは台湾の約1500分の1しかないんですよね。

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