ちなみに…「グロムイコ」とは、1957年2月から1985年7月までの28年以上に渡って、旧ソビエト連邦の外務大臣を務めた人物です。

グロムイコ氏は「ミスター・ニェット(ロシア語で「NO」を意味する言葉)」の愛称を持ち、現在でもロシアの外務大臣と言えば、文句なしにアンドレイ・グロムイコ氏を指すと言われる代名詞的存在です。

アンドレイ・グロムイコ元ロシア外相

アンドレイ・グロムイコ元ロシア外相

旧ソビエト連邦時代に「ミスター・ニェット」の異名をとって活躍した、敏腕外交官でした。

そして、その外務大臣在任期間こそ、グロムイコ氏に及ばないものの、18年以上に渡ってプーチン政権での外務大臣を務めているラブロフ外相は、2代目「ミスター・ニェット」とも呼ばれているようです。

実際、ラブロフ外相は、これまで様々な外交問題で、西側諸国との間で激しいつばぜり合いを演じてきました。

それは対日関係でも容赦がなく、北方領土問題を含む平和条約交渉の場でのラブロフ外相の次のような強行な発言が話題になったことも…。

北方領土問題で日本に対して敵国条項を度々援用し、「我々は(日本に)クリル諸島(北方領土)を渡さない。平和条約(締結)を日本側にねだる事もしない」などと常々発言している。

ラブロフ外相とプーチン大統領の関係② 但し、政権の中枢にはいない

ラブロフ外相は、ロシアをとりまく外交問題での容赦のない強行な発言はもちろん、身長188cmの大男であるがゆえに、国際舞台での存在感の大きさでも、ロシア国民の支持を集めているようです。

プーチン大統領(左)とラブロフ外相

プーチン大統領(左)とラブロフ外相

実身長は168cmと言われるプーチン大統領と並ぶとこの身長差!

実際、モスクワの土産物店には、ロシアの英雄である宇宙飛行士ガガーリンやプーチン大統領に並ぶようにして、ラブロフ外相がプリントされたTシャツも売られているのだとか。

しかし、そんなラブロフ外相ですが、実は、プーチン政権の中枢である「サンクトペテルブルク派」には属しておらず、政治的意思決定には大きな役割を担っていないとされています。

ちなみに、「サンクトペテルブルク派」とは、ウラジーミル・プーチン氏が2000年に大統領に就任した後、サンクトペテルブルクKGB時代の同僚を政権に招き入れて形成した、「シロビキ(武闘派)」と称する強硬派最大派閥です。

そして現在、プーチン大統領が最も信頼している側近として挙げられているのが、パトルシェフ安保会議書記、ボルトニコフ連邦保安庁(FSB)長官、ナルイシキン対外情報庁(SVR)長官、ショイグ国防相の4名です。

プーチン大統領を支える4人の最側近

プーチン大統領を支える4人の最側近

この中にラブロフ外相の姿はありません。

プーチン政権において、長年に渡って外務大臣という要職に就いているにもかかわらず、ラブロフ外相が政権の中枢に関わっていない理由について調べてみたところ、次のような説得力ある説明がありました。

「(現在のロシアにおいて)もはや外務省は政府のPR部門でしかありません。外交と軍事と安全保障が密接に関わるようになったせいで、外務省の立場が弱まり、外交官が主導権を握れなくなっています」

どうやら現在のプーチン大統領にとって外務省とは、ロシアをとりまく外交問題を話し合いにより解決する部門ではなく、単に自国のプロパガンダを喧伝するための組織に成り下がってしまっているようですね。

何かと言うと「フェイクニュース」を連発するラブロフ外相

何かと言うと「フェイクニュース」を連発するラブロフ外相

ラブロフ外相はウクライナ開戦前、プーチン大統領に対話継続を提言していた

2013年から4年間、駐モスクワのフランス大使を務めたジャン=モリス・リペール氏は、かつてラブロフ外相について、次のように評しています。

「交渉の仕方が情け容赦ないんです。誰もが震え上がります。でも、その風貌とは裏腹に意外と人情家だったりします」
ラブロフ外相は実は人情家?

ラブロフ外相は実は人情家?

日本の河野太郎元外相と笑顔で写真に収まるラブロフ外相

その言葉通り、実は今回のロシアによるウクライナ侵攻が始まる直前である2022年2月14日、ラブロフ外相はプーチン大統領に対して、次のようにウクライナとの対話継続を提言していたと報じられています。

「可能性は尽きていない」
「対話を続け頻度を増やすことを提案する」

しかし、そんなラブロフ外相の提言が受け入れられることはなく、2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が始まることに…。

ちなみに、プーチン大統領がわざわざラブロフ外相を呼び寄せ、ウクライナとの間の対話による解決の可能性を尋ねたのも、単なる政治パフォーマンスに過ぎなかったとも言われているんですよね。

実際、その時期には既に開戦を見越して、ウクライナ国境付近に展開している陸軍の兵力を増強していたとも…。

ただ、当時はそれ以上に話題になったのが、ラブロフ外相とプーチン大統領の間の距離感でした。

プーチン大統領とラブロフ外相の会談の様子

プーチン大統領とラブロフ外相の会談の様子

左手前がラブロフ外相で、右のずっと奧に座っているのがプーチン大統領。「距離ありすぎ!」「マクロンの時より遠くなっとるやん」と話題に…

ちなみに、フランスのマクロン大統領が、2022年2月7日に戦争回避を訴えるためにクレムリンを訪れ、プーチン大統領と会談した時の様子がこちら。

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