ゼレンスキー大統領が無能と言われる理由

支持率アップのためにEUやNATOへの加盟を掲げる

支持率が急落し、さすがにマズいと思ったゼレンスキー大統領は、まさに起死回生の施策としてEUやNATOへの加盟を打ち出しました。

と言うのも、特にEU加盟は、ウクライナの腐敗政治に絶望し、外国で仕事をしたいと考えていた多くのウクライナ国民が長年熱望していたことだったからです。

なぜなら、EUのパスポートさえあれば、シェンゲン協定により、EU圏内を自由に移動することができる上、就職も可能になりますから…。

EUのパスポート

EUのパスポート

ゼレンスキー大統領本人もすぐにEUに加盟できるなんて思っていなかった…

しかし、EUに加盟するには、厳しい基準をクリアした上で、現在加盟している27ヶ国全ての承認を得なければなりません。

これは非常にハードルが高く、もう17年も加盟交渉がまとまっていないトルコをはじめ、北マケドニアやモンテネグロなど、現在も5ヶ国が順番待ちをしている状況なんですよね。

たとえ将来、ウクライナのEU加盟が承認されるにしても、それはずっと先の話になっていたことは間違いなく、もちろんこの時点では、ゼレンスキー大統領本人も、すぐにEUに加盟できるなんて思ってもいなかったはずです。

つまり、ゼレンスキー大統領は、ウクライナ国民に対して、単に支持率アップを狙ったリップサービスをしたに過ぎなかった…と言わざるを得ないのです。

ウクライナのNATO加盟などロシアが許すはずないことも分かっていた

一方のNATOへの加盟については、EUに比べればハードルは低く、実際、EU加盟の順番待ちをしている北マケドニアやモンテネグロも、既に加盟を果たしています。

しかし、軍事同盟であるNATOへの加盟など、隣国であるロシア、ことにプーチン大統領が許すはずなどないことも、ゼレンスキー大統領はちゃんと分かっていたはずなんですよね。

と言うのも、ロシアは16ヶ国との国境線を持ち、過去に1812年のナポレオンのロシア遠征や、第二次世界大戦におけるナチスドイツによるロシア侵攻など、何度も他国の侵略を受けた歴史を持ちます。

このような歴史的背景から、ソ連時代のロシアは、冷戦期には東欧諸国を支配下に置き、西側諸国との緩衝地帯としてきました。

しかし、冷戦終結後、ソ連崩壊とともに東欧諸国が次々と独立を果たし、西側へと流れていったんですよね。

そして、現在残されたベラルーシとウクライナは、ロシアの国防上、是が非でも死守しなければならない防衛ラインであり、ゼレンスキー大統領が掲げたNATO加盟など絶対に許すわけにはいかなかったのです。

ベラルーシのルカシェンコ大統領とプーチン大統領

ベラルーシのルカシェンコ大統領とプーチン大統領

ルカシェンコ大統領はプーチン大統領の従順な飼い犬

核兵器保有に意欲を見せたゼレンスキー大統領にプーチン大統領が激怒

ソ連時代のウクライナでは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核兵器などが開発されており、1991年の独立時点で約1900発もの核弾頭を保有し、ウクライナはアメリカ・ロシアに次ぐ世界第3位の核保有国でした。

そこで1994年12月、そんなウクライナに核兵器を放棄させる代わりに安全保障を提供するという「ブダペスト覚書」に、アメリカとロシア、イギリスが署名。これによりウクライナは非核兵器国となったのですが…。

1994年の「ブダペスト協定」の調印式の後の一枚

1994年の「ブダペスト協定」の調印式の後の一枚

左からアメリカのクリントン大統領、ロシアのエリツィン大統領、ウクライナのクラフチュク大統領

ゼレンスキー大統領は2022年2月、「ロシアによるクリミア併合のようなことがウクライナに起こるのは、ウクライナが核を持たないからだ」「ブダペスト覚書は再検討できるはず」などと、核保有を匂わせる発言をしたんですよね。

実際、ウクライナは現在も核開発に関する知識やノウハウ、技術者も多数存在すると言われています。その気になればいつでも核を保有できてしまうわけで、このゼレンスキー大統領の発言は、プーチン大統領を激怒させたことは言うまでもありません。

ちなみに、今回のロシアによるウクライナ侵攻の際、プーチン大統領は真っ先にウクライナ最大の原発であるザポリージャ原発を攻撃しています。

これは、ウクライナから電力という重要なインフラを奪うことを目的とすると言われていますが、原発に保管されている核兵器の材料となる大量のプルトニウムを押さえ、ウクライナに核兵器を作らせないとの目的もあるようです。

ミンスク合意破棄でロシアにウクライナ侵攻の口実を与える

もっともプーチン大統領のイライラは、何も今に始まったものではなく、それはゼレンスキー大統領の就任当初から始まっていたようです。

そもそもロシアとウクライナの間に紛争が勃発したのは、2014年3月、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合した後、親ロシア派武装勢力がウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州の一部地域を占拠したことがきっかけでした。

翌2015年2月、ドイツとフランスの仲介の下、ベラルーシの首都ミンスクで行われた会談の結果、ウクライナとロシア間に停戦合意、いわゆる「ミンスク合意」がまとまりました。

合意内容には、停戦とともにウクライナは憲法を改正し、ロシア系住民が全体の7割を占めるとも言われるウクライナ東部の親ロシア地域に“特別な地域”を与えることが規定されていたのです。

ところが、2019年に大統領に就任したゼレンスキー大統領は、支持率アップを狙って「あの合意はウクライナが不利な条件を押し付けられたもの」と公然と言い出し、先人たちが苦労して積み上げてきた“合意”を反故にしてしまったんですよね。

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