事例1.漁船第二十八あけぼの丸転覆事件

1982年1月6日、第二十八あけぼの丸がベーリング海での遠洋底引網漁の際、転覆して沈没しました。

船には33人の乗組員が乗っており、助かったのは1人だけ。残り32人中24人は行方不明となり、8名の死亡が確認されています。

事故があった日のベーリング海の気象は風速15m、気温1度、水温2.4度で、波の高さは5mということでした。

第二十八あけぼの丸はスケトウダラ漁の最中だったということ。船にはスケトウダラを50トン積んでいました。そんな船の状況の中、船首を波に建てるため左旋回をしたとき、原料置き場の差し板壁が壊れ、積んでいたスケトウダラが流動化したため、船のバランスが崩れてしまいました。

乗組員は船のバランスを保つため、スケトウダラ10トンを海に捨てましたが、船が激しく揺れて海水が船の中に入り、転覆して沈没しました。

事例2.漁船第十一協和丸・漁船第十五安洋丸衝突事件

1984年2月15日午前4時、第十一協和丸(乗組員24人)と第十五安洋丸(乗組員25人)が、ベーリング海の米国200海里水域内で操業中の衝突事故です。

ベーリング海で操業中、猛吹雪となったために支えの態勢をとっていた「第十一協和丸」と、他の船に引き渡すオブザーバー4名を乗せた「第十五安洋丸」が、100m程度の視界の中で衝突。

第十五安洋丸は船首部に亀裂を伴う損傷程度でしたが、第十一協和丸は3番魚倉に浸水して沈没し、14人が死亡、2人が行方不明、5人が負傷者を出す事故となりました。

事例3.漁船第一安洋丸沈没事件

1999年12月10日、遠洋底引き網船の第一安洋丸がベーリング海でトロール漁業の揚網中、甲板に押し寄せた海水が左舷側に滞留しました。

そこに漁獲した重量が加わったところに大波が押し寄せて、左舷の傾斜が増大して船首が傾き、漁獲物処理工場区画と機関室へ浸水が続き、浮力を失って沈没。

その結果、作業員1名が死亡、乗組員12名が行方不明となりました。

ベーリング海カニ漁の現在

ズワイガニ漁が禁止に

ズワイガニ漁が禁止に

3月ごろの例年のアラスカ州・コディアック島は、ズワイガニ漁の港として賑わっていますが、2023年3月現在、閑散として人が1人もいない状況です。

アメリカ屈指の豊かな漁場として知られているアラスカ・ベーリング海で、初めてズワイガニ漁が禁止となったのです。その原因は海洋熱波(異常に高い海水温が5日以上続く現象)によるものと指摘されています。

ズワイガニに代わり「タナークラブ」豊漁?

ズワイガニに代わり「タナークラブ」豊漁?

親子3代でズワイガニ漁を続けている漁師の漁船タンクには、15000キロものカニが積まれていますが、そのカニの正体はズワイガニではなく、「タナークラブ」という品種のカニです。

ズワイガニと比べるととても安価で、例年の収入の85パーセント減だということ。それでは漁船の維持費すら確保できないと嘆いていました。

海洋熱波によりズワイガニの個体数が激減

海洋熱波によりズワイガニの個体数が激減

海洋熱波により、ベーリング海のズワイガニの個体数は激減しており、2022年10月の調査では、推定10億匹ものズワイガニが姿を消したそうです。

そんな状況から、アラスカ州漁業狩猟局では2022年~2023年にかけてのズワイガニ漁を解禁しないことを発表しました。

地球温暖化の影響

地球温暖化の影響

2023年1月下旬に開催されたアラスカ海洋科学シンポジウムで、アメリカ海洋大気庁のマイク・リッツォウ氏は、今後もカニ漁禁止の状況が頻繁に起こる可能性があると警告しました。

地球温暖化による海洋熱波は各地で発生。日本でもサンマなどの不漁の原因とされています。

カニ漁禁止でセントポール島が危機に瀕している

カニ漁禁止でセントポール島が危機に瀕している

ベーリング海に浮かぶセントポール島は「「北のガラパゴス」と呼ばれており、トナカイやオットセイなどの多様な動物が生息する地域。そんな島が現在危機に瀕しているのです。

人口わずか330人の島はカニ漁で栄えていました。しかし、禁漁となっている現在、予算の削減を余儀なくされて、緊急医療サービスはボランティア扱いとなり、4人いた警官も今は1人で賄っている状態です。

現在は、様々な方法でカニの個体数を増やす研究が行われているということ。

ベーリング海のカニ漁は正に一攫千金だけが希望のやばい仕事だった【まとめ】

ベーリング海のカニ漁のやばい理由や現在までを紹介してきました。実際のベーリング海のカニ漁をドキュメンタリー作品『ベーリング海の一攫千金』で見てみると、その過酷な環境での労働が詳細にわかりました。

風速20mの強風が吹き荒れて波の高さは10mを超え、4トンもの海水が一瞬にして船を凍り付かせるという環境で働く作業員たちは、3か月で1500万円稼げるという希望だけが頼り。一歩間違えば死に直面するのです。実際日本人の犠牲者も沢山いました。

しかし現在は地球温暖化の影響で、ベーリング海でのカニ漁は解禁できない状態。この漁で生計を立てていた地元住民の今後が心配されますね。

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