三国志では妻の肉で劉備をもてなす逸話がある

三国志では妻の肉で劉備をもてなす逸話がある

明代に編纂された三国志演義の中には、漁師が妻の肉で劉備(りゅうび皇帝)をもてなし、曹操から百金をもらった逸話があるほか、水滸伝にも、しびれ薬を飲ませた客の肉を商売に利用する居酒屋の話があり、この時代の知識人にとってもカニバリズムは特に違和感を覚えるものではなかったようです。

西太后もカニバリズムだった

西太后もカニバリズムだった

清代(1644年~1912年)の宮廷でもしばしばカニバリズムが行われていました。高官が赤ん坊の肉を好んで調理させた話も存在します。また、あの西太后が、病の東太后の歓心を買うために、肘肉をスープにして食したと言われています。

台湾原住民族の肉が滋養に富む

台湾原住民族の肉が滋養に富む

台湾の政治家である黄昭堂氏によりますと、台湾原住民族は「生蕃(せいばん)」と呼ばれ、その肉は滋養に富むとして食べられ、大陸に輸出されていました。凌遅場近辺では、死刑囚の肉が食用あるいは薬用に使用されていた記録があり、廃止された光緒31年(1905年)には北京で撮影が行われています。

魯迅の著書『狂人日記』は食人記録の悪習

魯迅の著書『狂人日記』は食人記録の悪習

近代では、革新派知識人らによって史料に記されている食人記録は封建制による悪習とされ、昔の悪い象徴として厳しく糾弾されました。特に強迫性障害を患っている魯迅の著書『狂人日記』は、カニバリズムの幻想を抱き、人の血に浸して食べる肉饅頭が肺病を治す『薬』といった著作において見られます。

中華人民共和国大飢饉でもカニバリズムが行われた

中華人民共和国大飢饉でもカニバリズムが行われた

現代においては、中国共産党の政策の失敗により、深刻な食糧不足が発生。その際にカニバリズムが発生しています(中華人民共和国大飢饉)。文化大革命時にも人肉食が広西などで行われたという後年の調査とその報告があります。

その他の地域でのカニバリズム

イースター島

イースター島

イースター島では1600年から1700年頃にかけて、人口が70%減少したことがありました。当時ここではモアイ像建設のために森林伐採が行われており、たんぱく源である野生動物が減少し、供給が断たれました。

そのため、部族同士で少ない食料を奪い合うという争いが起き、ゴミ集積所からは多数の人骨が発見され、カニバリズムが発生したとされています。

ヨーロッパ:スペイン

ヨーロッパ:スペイン

スペイン北部のアタプエルカ遺跡で、「最初のヨーロッパ人」の遺骨が発見され、このとき当時の先住民がカニバリズムであったことが判明しています。

特に子供の肉を食べていたことがわかり、儀式や薬としてではなく食料としていたようです。単に動物の肉が不足していたからではなく、人間の肉を好んで食べていたことがわかっています。

ヨーロッパ:シリア・マアッラ

ヨーロッパ:シリア・マアッラ

ヨーロッパでは戦争や飢饉、貧困、宗教的な理由からカニバリズムは広く行われていました。第一回十字軍のマアッラ攻囲戦においては、シリアのマアッラを陥落させたときに人肉が食されたということ。

ヨーロッパ:イタリア

ヨーロッパ:イタリア

意外なことに、1274年にフォッサヌォーヴァ修道院で亡くなった、神学者のトマス・アクィナスの埋葬の際に、聖遺物の散逸を免れるために遺体を加工保存し、頭部を食したということです。

ヨーロッパ:ドイツ

ヨーロッパ:ドイツ

第一次世界大戦後のドイツでは、肉不足に陥っており、2人の連続殺人犯が死体を商品化するために開発していた際に明るみに出ています。

また、第二次世界大戦中の強制収容所では、収容者が亡くなった人の肉を食べることがあったようです。歴史の観点から見ると、これは致し方ないことだと思えますね。

アメリカ大陸:メキシコ・アステカ族

アメリカ大陸:メキシコ・アステカ族

アステカ族はとても稀な国で、カニバリズムを制度化していました。そのため、戦争や反乱で捕まえた捕虜を食糧として首都に送っていました。

生贄として生きている捕虜の心臓を取り出し、神に捧げた後に体を祭壇の上から投げ落として切り刻み、トウモロコシと一緒に煮込んで食したということ。

しかし、それを食べられるのは上流階級の人達だけでした。

アメリカ大陸:イコロイ族・ヒューロン族

アメリカ大陸:イコロイ族・ヒューロン族

北アメリカの先住民族であるイコロイ族やヒューロン族にもカニバリズムの歴史があります。

イエズス会の報告によりますと、対象となるのは戦争捕虜で、戦場で食糧にしたり、村に連れ帰って訓練用や拷問に使用したりしてから食べたとされています。

カニバリズムによって病気になった民族がいる

パプアニューギニアのフォア族の間で流行った病気

パプアニューギニアのフォア族の間で流行った病気

かつて、カニバリズムの習慣があったパプアニューギニアのフォア族の間で、人肉が原因とされる病気が流行り、たくさんの人達が命を落としました。

クールー病という脳の病気

クールー病という脳の病気

その病気はクールー病という不治の病であり、神経変性の致死的な疾患なのです。クールー病は、異常に折りたたまれたタンパク質 (プリオン)の伝達によって引き起こされる、伝達性海綿状脳症(TSE)の一種であり、神経変性による震えや協調運動(手や足などの別々に動く部位を、まとめて一つにして動かす運動)を失う症状を引き起こします。

クールー(震える)に由来し病的なほどに爆笑する

クールー(震える)に由来し病的なほどに爆笑する

「クールー(震える)」という用語は、この病気の典型的な症状である体の震え(特に足)に由来します。この病気のもう一つの症状で、病的なほどに爆笑を引き起こすため、「笑いの病気」としても知られています。

亡くなった家族は食べられて死者の魂を解放する

亡くなった家族は食べられて死者の魂を解放する

現在では、クールーがフォア族の間で、葬式でのカニバリズムによって伝染したということが広く受け入れられています。亡くなった家族は伝統的な料理法で食べられ、それが死者の魂を解放するのに役立つと考えられていました。

死者の肉は男性が、脳と内臓は女性と子供が食した

死者の肉は男性が、脳と内臓は女性と子供が食した

死者の肉にあたる部分は男性が食し、内臓と脳は女性と子供が食す慣わしだったそうです。

病気に罹る大半が女性だったことでカニバリズムが原因だと判明

病気に罹る大半が女性だったことでカニバリズムが原因だと判明

脳の病気に罹る大半が女性だったため、「クールー病」と呼ばれるクロイツフェルト・ヤコブ病 の一種の脳疾患であることが判明し、原因がカニバリズムであることがわかりました。

女性と子供は感染性プリオンが最も集中している臓器である脳を摂取するため、この病気は女性と子供の間でより蔓延していたのでした。

クルー病で死んだ人の脳を食べて感染して広がった

クルー病で死んだ人の脳を食べて感染して広がった

病気の流行は、村人がクロイツフェルト・ヤコブ病を発症して死亡したときに始まったと考えられています。葬式で村人がその脳を食べると病気に感染し、感染した脳を食べた他の村人に病気が広がりました。

1960年代初頭にカニバリズムを止め現在は死亡者が出なくなった

1960年代初頭にカニバリズムを止め現在は死亡者が出なくなった

フォア族は1960年代初頭に人肉の摂取をやめていますが、この病気は共食いを介して感染すると初めて推測され、クールーの潜伏期間が10年から50年以上と長いため、病気の発症は長引きました。

流行は半世紀後に急激に減少し、1957年には年間200人いた死亡者が、少なくとも2010年以降は死亡者が出なくなりました。

カニバリズムに関連した日本人の事件5選

日本でもカニバリズムは実際に行われており、その殆どは戦争や食糧難などのどうしようもない事情があります。

しかし、一部では快楽を得るためにカニバリズムを行う人間もいることは事実。そんな犯罪行為でのカニバリズムの事件を5選紹介していきます。

① パリ人肉事件:佐川一政

オランダ人女性留学生を射殺した後カニバリズム行為をした

オランダ人女性留学生を射殺した後カニバリズム行為をした

1981年(昭和56年)6月11日に、フランス・パリで起こった殺人事件です。当時パリの大学院に留学していた32歳の佐川一政が、友人のオランダ人女性留学生を部屋に呼び、射殺して死姦した後に、その肉を生で食べ、解体した写真を撮影して遺体の一部を焼くなどして食べたというもの。

犯行当時心神喪失状態で無罪

犯行当時心神喪失状態で無罪

それ以前にもカニバリズムのために殺人未遂の疑いで逮捕されており、示談金で告訴を取り下げられました。

佐川一政は、幼少期からカニバリズムへの欲求があったと語っています。

事件当時、佐川一政は心神喪失状態であったとして無罪となり、フランスの精神病院に1年間入院した後、東京の病院に移りました。

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