ヴォイニッチ手稿とはそもそも何?

ヴォイニッチ手稿をざっと説明しますと、1912年にイタリアで発見された古文書のことです。ヴォイニッチ写本やヴォイニック写本とも呼ばれており、240ページからなる文書や奇妙な絵が描かれています。

多くの歴史研究者や言語学者によって解読を試みられましたが、そのほとんどが未だに解読不能です。そんな謎めいたヴォイニッチ手稿の概要を解説していきます。

発見者はウィルフォリド・ヴォイニッチ

生年月日:1865年10月31日
出生地:ロシア帝国コヴノ県テルシェイ(現在のリトアニア)
職業:古物商、愛書家、ポーランドの革命家
没年月日:1930年3月19日(64歳)

ポーランド系リトアニア人の貴族である文官の家系に生まれ、イギリスとアメリカで古物商や愛読家として活動し、後にアメリカに帰化します。

1885年にワルシャワで、プロレタリアート(共産主義の革命組織)に参加し、ロシア警察に逮捕されて、トゥンカ(シベリアのブリヤート共和国にある村落)へ流刑となります。

1890年、シベリアからロンドンへ脱出すると、1895年に革命運動から身を引き、1898年にロンドンで本屋を始めます。その後、1912年にイタリアのモンドラゴーネ寺院でヴォイニッチ手稿を発見することに。

ヴォイニッチ手稿の外見

大きさは縦23.5cm×横16.2cm×幅5cmで、左から右読みで書かれており、現存するページ数は240ページ。約28ページ分が欠落しているとされています。

羊皮紙で作られており、イラストはほぼ全てのページに女性や占星図、植物の絵が色彩豊かに大きく描かれています。

ヴォイニッチ手稿と名付けられた由来は、発見者のウィルフリッド・ヴォイニッチに因んでいます。

ヴォイニッチ手稿の内容

ヴォイニッチ手稿は、書かれている文字が解読不能の未知の文字で、多くの色彩から成る絵画によって構成されています。文字には記号システムが確認されているということです。

そのほとんどは絵画で占められており、中には絵画だけのページも存在します。文字全体で占められているページが少ないのが特徴。

絵の種類は、70パーセントほどが植物の全体像を描いたページや、植物の部分像を書いたページで占められています。残り30パーセント部分のページには、銀河や星雲などの天体図と思われる、天文学や占星術に関するもの、血管や排水管のような複雑な絵や精子に見えるようなもの、女性がプールまたは浴槽に浸かっているいるような、奇妙な押し絵のようなページもあります。

また、ごく一部にラテン語らしき文字に似たような文字列も確認されているようです。

1ページから57ページまでは植物や花

ヴォイニッチ手稿の1ページから57ページ目までは、緻密な植物や花と思われる絵と、空いた部分に説明書きのような文章が続いています。

この形のページは、後半のページにもちらほらと姿を見せています。

大半が植物の絵で占められており、文字は絵を避けるような形で空白の場所に記述されています。女性の絵や天体図のような絵のページと比べると文章量が少なく、空白の部分が多い傾向となっています。

また、植物の絵には樹木の絵が全くなく、草花の根っこまで描かれている傾向にあります。

57ページから73ページまでは天文学や占星術

57ページから73ページまでは、天文学や占星術に関する絵らしきセクションが続きます。1ページ全体に円形の絵が描かれていたり、複数ページを合わせて車輪のように並べて描かれたりしています。

文章になっている形態のものはあまりなく、ほとんどが絵の中に説明書きのように、短いフレーズで書かれているようです。

円には時計のように3月から12月までの、10か月の黄道十二星座の絵が描かれた箇所かあって、中世のラテン語のような、月の名前と思われる文字があります。

私たちが普段目にする星座とは異なり、射手座がケンタウロスの代わりに人間で、持っているのが弓矢ではなくクロスボウとなっています。また蟹座はザリガニ、蠍座がトカゲらしき絵のようです。

75ページから84ページまでは女性

75ページから84ページまでは女性の絵で、プールまたは浴槽に浸かったものや畑仕事をしていると思われる絵などに、文章が記述されています。

上述している植物や天文学の絵の時に比べると、文章を主体にしているページが多く、絵は文章の邪魔にならない程度に添えられているセクションが多いのが特徴です。

今までのページとは全く逆のパターンとなります。

85ページと86ページは見開きの円形の一枚図

85ページから86ページは全部で6ページ分あり、6枚の羊皮紙が折りたたまれる仕組みになっています。

外側は1ページに文章だけと一枚図を、内側は2×3の見開き全面を使って、大きな円形の図が9つ繋がった絵が描かれています。

87ページから102ページは植物の見開きページ

87ページから102ページは、また植物に戻って草本全体を大きく描いた絵が主体です。複数の草や葉、根っこといった部分を並べたようなページです。

4ページにわたる見開きページには、壺に似ている絵や瓶のような絵、植物の茎の皮を剥いで、バラバラにした模式図のような絵も描かれています。

103ページから116ページまでは文章だけ

103ページから119ページまでは、文章が殆どを占めています。描かれている絵は端に小さな星のような絵が、模様のように描かれているだけ。今までのページとは対照的です。

左ページも右ページも一般の書物と同様に、文章だけで構成されているのです。

また、描かれている星のような絵は、ページの左縁に七芒または八芒の星型から、下に1本の線が垂れた状態で、星か花のようなマークが縦に並んでいます。

そのマークは、芒星の中心に赤い丸があるものと無いものが混じっているようです。これらのマークの並ぶ間隔は均一ではなく、文章のセクション区切りの記号なのかは不明です。

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