ダッカ日航機ハイジャック事件について

日本赤軍が起こしたハイジャック事件

日本赤軍が起こしたハイジャック事件

ダッカ日航機ハイジャック事件とは、1977年9月28日、日本赤軍が起こしたハイジャック事件で、ダッカ事件とも呼ばれている、終息までに6日間という時間を要したテロ事件です。

パリ発東京行きの日航機が乗っ取られた

パリ発東京行きの日航機が乗っ取られた

1977年9月28日、乗員14人、乗客137人を乗せたパリ発東京行きの日航機が、経由地のインド・ムンバイを離陸した直後に、武装した日本赤軍グループ5人に乗っ取られ、バングラデシュのダッカに強制着陸しました。

134時間かけて集結

134時間かけて集結

日本赤軍のグループは、服役・拘留中の9人の仲間の釈放と身代金を要求し、日本政府は超法規的措置として要求を受け入れ、釈放と参加を拒否した3人を除く6人を釈放し、身代金600万ドル(現在の日本円で約9億円)の受け渡しと乗員乗客の解放で、事件は幕を閉じました。

ダッカ日航機ハイジャック事件の詳細

ダッカ日航機ハイジャック事件は、発生してから終結を迎えるまで、およそ134時間という時間を要したハイジャック事件です。

そんな長期戦となった事件の詳細を解説していきます。

ムンバイ国際空港で日本航空472便がハイジャックされる事件が発生

1977年9月28日に起こった

1977年9月28日に起こった

1977年9月28日、フランスのシャルル・ド・ゴール空港発、東京国際空港行きの日本航空472便が、乗客142名と乗員14名を乗せて、経由地のインド・ムンバイ国際空港を離陸後12分が経過したころ、犯人5人は座席から立ち上がって叫びながら、拳銃や手りゅう弾を持って客室前方に向かいました。

犯人はダッカの空港へ行くよう指示

犯人はダッカの空港へ行くよう指示

操縦室に入った犯人たちは、日本赤軍がハイジャックしたと宣言し、乗客・乗員151人が人質となりました。続けて、犯人たちはバングラデシュのダッカの空港へ行くよう指示。日本航空472便が5人の犯人にハイジャックされた瞬間です。

身代金600万ドルと日本赤軍メンバー9名の釈放を要求

身代金600万ドルと日本赤軍メンバー9名の釈放を要求

472便機はカルカッタ方面に向かったはずでしたが、進路を変更してバングラデシュ・ダッカのジア国際空港(現在のシャージャラル国際空港)に強行着陸。

犯人グループは声明を発表し、人質151人の身代金600万ドル(当時の日本円で約16億円)と、日本で服役および勾留中の日本赤軍メンバー9名(城崎勉、奥平純三、大道寺あや子、泉水博、浴田由紀子、植垣康博、知念功、仁平映、大村寿雄)の釈放並びに日本赤軍への参加を要求してきました。

最初に殺すのはアメリカ人

最初に殺すのはアメリカ人

この要求が実現しなければ、人質を1人ずつ殺すと警告。さらに、犯人グループは「最初に殺すのはアメリカ人」という条件を付けました。

犯人はアメリカ人銀行家が搭乗していることを知っていた

犯人はアメリカ人銀行家が搭乗していることを知っていた

アメリカと親交関係にある日本政府は、アメリカへの外交的な配慮があったのでは、という見方もされていました。472便には、カーター大統領の友人でアメリカ人の銀行家が搭乗していて、犯人グループはそれを事前に知っていたと思われます。

エンジンを停止させて機内が45度以上に

エンジンを停止させて機内が45度以上に

長期戦となることを悟っていた犯人は、その後、飛行機の燃料消費を抑えるため、エンジンを停止させました。それが原因で機内の温度が45度以上にまで上がり、倒れる人質が続出。

偶然乗り合わせていた日本航空で嘱託医師を務めている穂刈正臣氏が、急遽手当てを行い、機長が空港側にエアコンを作動させるための補助動力車と水を要求したことで、大事にならずに済んだということでした。

犯人達は人質からパスポートや身につけている時計、貴金属類とお金を没収し、手荷物は降乗口に積み上げて、即席のバリケードにしました。また、窓のシェードは降ろされて、機内の様子は外から確認できませんでした。

超法規的措置で人質解放へ

一人の生命は地球より重い

一人の生命は地球より重い

およそ2日間の膠着状態が続き、日本政府はこれ以上の武力や交渉では解決できないとし、10月1日に当時の首相福田赳夫(ふくだ たけお)氏が「一人の生命は地球より重い」と述べ、身代金600万ドルの支払いと「超法規的措置」として、収監されているメンバーの釈放と引き渡しを行うことを決定しました。

釈放要求メンバー9人中3人が参加拒否

釈放要求メンバー9人中3人が参加拒否

しかし、釈放の要求があったメンバーのうち、連合赤軍の植垣康博、沖縄解放同盟の知念功、京都地方公安局爆破事件の犯人である大村寿雄は、日本赤軍への参加および釈放を拒否しました。

最終的に6人となったメンバーの釈放手続きについては、法務大臣の指揮の下で行われたということ。

身代金と6トンの食料を積んでダッカへ

身代金と6トンの食料を積んでダッカへ

釈放が決まった10月1日、政府側とハイジャック犯の橋渡し役として、当時の運輸政務次官である石井一氏を団長とし、日本航空の朝田静夫社長とその役員、運輸省幹部などのハイジャック対策メンバーが対応することに決定。

さらに、交代の客室乗務員と身代金、6トンの食料、そして釈放された犯人グループのメンバー6人が、日本航空特別機でダッカへと向かいました。

ダッカで身代金目的の軍事クーデターが発生

ハイジャック対応の最中にクーデター発生

ハイジャック対応の最中にクーデター発生

ダッカで軍や政府関係者がハイジャックの対応に追われている最中の10月2日に、軍事クーデターが発生します。

クーデター犯は、ハイジャック事件の身代金600万ドルを奪う計画を立てていました。

市内では戒厳令が発令され、2時間ほどで鎮圧されますが、空港周辺の戦闘では政府軍の士官11名が死亡し、司令官が負傷する事態となりました。また、管制塔の中でも銃撃戦が繰り広げられ、それは日本政府の関係者や報道関係者の間近で行われていたようです。幸い日本人に死者や負傷者は出なかったということ。

人質解放に向けて団長の石井政務次官を始めとする救援隊が悪戦苦闘

10月1日石井一団長率いる救援隊がダッカに

10月1日石井一団長率いる救援隊がダッカに

石井一団長率いる救援隊は、日本を出発したその日のうちにダッカ空港に到着しました。

石井団長は交渉役のマムード空軍司令官に、犯人との直接交渉をしたいと言いますが、苦労して交渉を進めてきたマムード氏は譲りませんでした。そのため、全員解放の重責を担っている石井氏は、マムード氏に託すしかありませんでした。

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